【デリバティブ】通貨オプションの基礎と営業例

【デリバティブ】通貨オプションの基礎と営業例

通貨オプションというデリバティブ商品をご存知でしょうか。

リテール営業ではあまり販売する機会はないですが、法人に対しては訴求力のある商品であり、武器として備えておく価値の高い商品です。

この記事では、通貨オプションの基礎知識と証券営業での使い方を、提案例とともに解説していきます!

通貨オプションの仕組み

通貨オプションの仕組みを理解するために、外貨を購入している事例を見ていきましょう。

※外貨を購入することを輸入、円貨を購入することを輸出とも言います。

〈事例〉ベトナムより原材料を輸入しているA社は、輸入決済のために毎月10,000USDの支払いを行なっており、B銀行にて10,000USDを購入している。

通貨オプションの仕組み

商品や材料を輸入している輸入企業の多くはこのような通貨取引を行なっていますが、ここでのリスクは為替レートです。

同じ量の原材料を仕入れても、為替レートが割高になれば(この場合円安)コストが高くなってしまいます。

  • 1ドル=100円→輸入コスト100万円
  • 1ドル=110円→輸入コスト110万円→10万円のコスト増

そこで、通貨オプションを活用することで、為替変動リスクをヘッジできるのです。

先ほどの事例で、1ドル=110円だとして、以下の条件で通貨オプション取引を実施したとします。

  • 期間10年間
  • 毎月10,000ドルを購入
  • 交換レートを1ドル=105.00円

※金融商品として成立させるためには、本来様々な特約を設けてリスクとリターン調整しますが、ここでは説明のために簡略化しています。

この取引でのA法人のリターンは次の2点です。

  1. スポットレート(1ドル=110円)より、5万円分調達コストを抑えることができた
  2. 調達コストを1ドル=105円に固定することができた

ここでポイントなのは、営業では1を強調して伝える場合が多いです。儲けに繋がる話なので、営業員も推したい部分だと思います。

しかし企業側からすれば、何よりも重要なのは為替変動リスクのヘッジであるため、通貨オプション取引の本質は為替レートの固定化にあるのです。

通貨オプション需要のある顧客

通貨オプション需要のある顧客についてみていきましょう。

顧客の探し方(面談編)

面談の中で、通貨オプションのニーズがありそうかどうかを見極めるポイントをお伝えします。

  • 輸出入を行っているか
  • 為替予約を行っているか
  • 他社・他行でデリバティブを行っているか

上記のいずれかに該当すれば、少なくとも提案する余地はあるはずです。

また、通貨オプションはスキームが複雑であり、他の外貨調達方法よりリスクがあるため、すでにデリバティブ取引の経験がある企業には訴求力があります。

理由としては、担当者の理解が早いことに加え、社長のリスク許容度が強く反映される取引だからです。未経験の企業では商品の説明から入らないといけないので、余程信頼関係を構築していないとまず提案しきれないでしょう。

そのため、効率的にニーズがありそうかどうかを知るためには、「デリバティブ取引の経験の有無」を尋ねるのが一番です。

顧客の探し方(財務編)

企業の財務諸表を確認できる機会があれば、通貨オプションニーズの有無が分かります。

確認すべき点は以下の項目です。

項目ポイント
売上原価原価に為替が含まれているかも
受取利息債券投資を行っているかも
配当金株式投資を行っているかも
為替差損駅本業で為替取引を行なっている
デリバティブ評価損益デリバ取引を行なっている

提案時には響かなくても、様々な商品知識があることをアピールできるので、積極的に提案すると良いでしょう。

ヒアリングポイント

通貨オプションにポジティブな反応を示していただければ、次に為替取引やヘッジ比率について尋ねていきましょう。

具体的なヒアリングポイントは次の通りです。

  • 外貨調達の頻度:需要量を確認するため
  • デリバティブの取引先:各社の色があるため(担保の有無、プライシング力など)
  • ヘッジ期間:取引時期を伺うため
  • ヘッジ比率:リスク許容度を確認するため
  • 平均レート:プライシングの参考にするため

通貨オプションの商品スキーム

通貨オプションの商品スキーム例を確認していきます。

あくまで例ではあるものの、実際の商品と同レベルの構成内容なので、まずはこのスキームを雛形として理解しておきましょう。

スキームA:米ドル買い(レバレッジ2倍、KOあり)

スキーム項目詳細
取引内容顧客の米ドル買い・円売り
権利行使日2021年10月20日〜2023年9月20日
権利行使判定日各権利行使日の4営業日前
受渡金額下表を参照
購入レート105.00円(Spot-5.00円)
※Spot110.00円を想定
ノックアウト条件判定期間約定日から各権利行使日の4営業日前まで
ノックアウト条件KO条件判定期間中にKOレート以上の米ドル高円安になった場合
ノックアウト条項KO条件が満たされた場合
ノックアウトレート120.00円(Spot+10.00円)
権利行使日レート<105.00円105.00≦レート<120.00円
各月20日3,000,000USD@105.00円 1,000,000USD@105.00円

スキームAの概要は次の通りです。

  • 顧客の米ドル買いで2年間の取引
  • 毎月各権利行使判定日の4営業日前のレートが105.00円未満であれば、顧客は3,000,000USDを@105.00円で調達できる(各行使日のレート-105.00円×3,000,000が利益)
  • 同様に、レートが105.00円以上120.00未満の範囲であれば、顧客は1,000,000USDを@105.00円で調達できる(各行使日のレート-105.00円×1,000,000が利益)
  • ただし、レートが120.00円を超えた瞬間に取引は終了する(実際の損失は提案時には想定できないが、証券会社のFeeにあたるオプション価格購入分の手数料は損失が確定している。※手数料は購入レート等に反映されている)

最後に

通貨オプションは、為替相場によっては顧客に大きなメリットをもたらすことに加えて、証券会社側も比較的多くのFeeを頂戴することができます。

スキームはやや複雑ですが、しっかり覚えておくことで提案の幅が広がるはずです。デリバティブ商品を扱える営業パーソンは多くはないので、差別化にも有用です。

この記事が、通貨オプション営業の一助になれば幸いです。

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