証券アナリスト(CMA)財務分析科目の要点をまとめております。
第10回は、リース会計の分類と計算について解説していきます。
証券アナリスト資格についてや、各科目の勉強方法、おすすめの教材については下記の記事をご参考ください。
〈第9回「減価償却の方法と計算」は次の記事をご参照ください〉
リース取引とリース会計
リース取引とは、貸し手が借り手に使用収益権を与える代わりに、借り手が貸し手に使用料を支払う取引です。
皆さんの会社のオフィスにあるパソコンやプリンターなどの有形固定資産は、リース会社から借りている場合がほとんどです。
パソコンやプリンターを使って営業活動ができる代わりに、会社がリース会社に使用料を払っています。会社とリース会社でリース取引を行っているのですね。
そしてこのリース取引によって発生するキャッフュフローを適切に会計に反映させる処理をリース会計と言います。リース会計の計算問題は試験で頻繁に出題されるので、しっかり理解していきましょう!
リース取引の分類
リース取引にはファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に大別され、中でもファイナンス・リース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類されます。
ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引は次の条件を満たすリース取引です。
【ファイナンス・リース取引の条件】
- ノンキャンセラブル:リース期間中に契約解除できない
- フルペイアウト:リース取引の利益享受&コストを負担している
上記の条件はあくまで前提条件であり、試験でよく出題されるのは次の2条件です。
【ファイナンス・リース取引の条件(試験用)】
- 現在価値基準:リース料総額の現在価値が、借り手が現金購入した場合の見積金額の90%以上
- 耐用年数基準:リース期間がリース物件の経済的耐用年数の75%以上
上記の①もしくは②に該当した場合をファイナンス・リース取引と判定します。
所有権移転ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引のうち、次のいずれかの条件に当てはまれば所有権移転ファイナンス・リース取引に該当します。
【所有権移転ファイナンス・リース取引の条件】
- 所有権移転条項付リース取引
- 割安購入選択権付リース取引
- 特別仕様物件のリース取引
試験では問題文に〜条項付との指定があるので簡単に見極めることができます。
ファイナンス・リース取引の会計処理
リース資産(債務)の計上
リース取引開始日に、リース物件とこれに係る債務(リース料)をリース資産及びリース債務として計上します。
貸手の購入価額が明確 | 貸手の購入価額が明確でない | |
---|---|---|
所有権移転 | 貸手の購入価額 | ①リース料総額の割引現在価値 ②見積現金購入価額 →①か②の低い価額 |
所有権移転外 | ①リース料総額の割引現在価値 ②貸手の購入価額 →①か②の低い価額 | ①リース料総額の割引現在価値 ②見積現金購入価額 →①か②の低い価額 |
※リース料総額の割引計算には貸手の計算利子率を適用。不明であれば借手の追加利子率を適用
支払リース料の計上
リース料総額は利息相当部分と元本返済部分とに区分します。利息相当部分は支払利息として処理し、元本返済部分はリース債務の元本返済として処理します。
リース資産の償却
リース資産の償却も試験ではよく出題されます。次の表を頭に叩き込んでおけばOKです。
残存価額 | 償却期間 | 償却方法 | |
---|---|---|---|
所有権移転 | 自己所有と同一※ | 経済的耐用年数 | 自己所有と同一※ |
所有権移転外 | 0 | リース期間 | 企業実態に対応※ |
※試験では問題文に指示があります
オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引です。
オペレーティング・リース取引に関しては、通常の賃貸借取引と同様に会計処理を行います。
ここで、第10回「リース会計の分類と計算」は終わりです。
最後に
證券アナリストなど、各種資格を効率的に取得されたい方は、資格スクールを受講するのも有意義です。
ただし、独学より費用は高くなってしまうので、資料請求して、しっかり吟味してから受講することをおすすめします。
スクール | ポイント |
---|---|
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