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【証券アナリスト】財務分析ノート15「退職給付会計の費用と計算」

証券アナリスト(CMA)財務分析科目の要点をまとめております。

第15回は、退職給付会計の費用と計算について解説していきます。

証券アナリスト資格についてや、各科目の勉強方法、おすすめの教材については下記の記事をご参考ください。

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〈第14回「引当金の意味・種類・表示」は次の記事をご参照ください〉

退職給付会計とは

退職給付とは、従業員が退職した際に給付されるお金で、退職一時金企業年金などが該当します。

大企業の役員ともなると退職金は億単位になるため、会社側からすると相当な出費になります。しかし、退職給付は従業員が働いてた全ての期間に対して支給されているものであり、退職時にまとめて払われているものです。

退職給付を払う時の出費を、これまでの労働期間に適切に配分する会計処理が退職給付会計なのです。

例えば、自動車メーカーA社に勤めていたBさんが2021年に退職し、退職一時金が4,000万円だったとします。

A社はBさんに退職一時金を払うため、2021年に一気に4,000万円負担することになりますよね。しかし退職給付4,000万円を費用として認識し、それを2021年に一度に計上してしまうと、適正に企業の実態を反映しているとは言えませんよね。

そこで退職給付会計により、2021年以前に毎年退職給付金を費用認識し、引当金として積み立てておくことで、退職時の支出の影響を抑えるのです。

退職給付債務の仕組み

退職給付会計では、退職給付債務の仕組み、及び退職給付費用の計算問題が出題されます。

ですから、まず退職給付の全体像でもある退職給付債務の理解し、そして退職給付費用を構成する各項目の理解と計算ができるようになれば完璧です。

退職給付債務

退職給付債務とは、退職給付見込額(退職給付の総額)のうち、期末までに発生していると認められる額を現在価値に割り引いたものです。割引計算に使用される割引率は、国債や優良社債の利回りを採用します

退職給付見込額のうち、期末までにいくら発生しているものとするかは企業の方針によって異なりますが、次のいずれか方法を選択し、継続適用することが求められます。

【期末発生額の測定基準】

  • 期間定額基準:退職給付見込額を全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法
  • 給付算定式基準:給付算定式に従って、各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積もった額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法

このように退職給付債務は、各企業によって各期の計上方法は異なるものの、毎期積み立てられていくものなのです。

会計上、退職給付債務は費用として処理される場合が多いので、毎期計上される退職給付債務退職給付費用と言います。

退職給付費用の計算式

退職給付会計がややこしいと言われる所以は、この退職給付費用の計算にあります。しかし、式を分解して理解していけば難しくありません。

退職給付費用とは、将来の退職給付のうち当期の負担に属する金額です。先ほどの例で言えば、Bさんに支払われる4,000万円のうち、今期の費用として認識する部分ですね。

退職給付費用の計算式は次のようになります。なお、この式で算出された値が損益計算書に反映されます。

【退職給付費用の計算式】

退職給付費用=勤務費用+利息費用−期待運用収益±過去勤務費用の費用処理額±数理計算上の差異の費用処理額

やたら長いですが、一つ一つ見てきましょう。

勤務費用とは

勤務費用とは、一定期間の労働の対価として発生したと認めれる退職給付のことです。退職給付見込額のうち、当期に発生したと認められる額を割り引いて計算します。

提供した労働力に対して発生するものなので、感覚的にも理解しやすいですね。

利息費用

利息費用とは、割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までに発生する利息のことです。利息費用は次のように計算されます。

【利息費用と計算式】

利息費用=期首退職給付債務×割引率

利息費用も退職給付費用の構成要素なので、しっかり覚えていきましょう。

期待運用収益

期待運用収益とは、年金資産の運用によって生じる収益のことです。

詳しくは後述しますが、年金資産とは特定の退職給付制度のために積立られた資産を指します。年金資産を運用して増えた金額が期待運用収益です。

期待運用収益の計算式は次のようになります。

【期待運用収益の計算式】

期待運用収益=期首の年金資産額×長期期待運用収益

過去勤務費用

過去勤務費用とは、退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の変化分です。

過去勤務費用については、発生した期に全額を認識するのではなく、平均残存勤務期間内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理しても良いとされています。遅延認識が認められているのです。

【過去勤務費用の計算式】

過去勤務費用の費用処理額=過去勤務費用の発生額÷平均残存期間内の一定の年数

このうち費用として処理されていないものを未認識過去勤務費用と言います。

数理計算上の差異

数理計算上の差異とは、退職給付債務が様々な見積算定によって行われるために生じる、退職給付引当金の過不足を指します。

具体的に数理計算上の差異とは次のようなものです。

【数理計算上の差異の内容】

  • 年金資産の期待運用収益と実際の収益との差異
  • 退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実際の数値との差異
  • 見積数値変更により発生した差異

なお、数理計算上の際についても遅延認識が認められています。

【数理計算上の差異の計算式】

数理計算上の差異の費用処理額=数理計算上の差異の発生額÷平均残存期間内の一定の年数

このうち費用として処理されていないものを未認識数理計算上の差異と言います。

年金資産

簡単に触れましたが、年金資産とは、特定の退職給付制度のために、企業と従業員との契約(退職金規定)に基づき積立られた資産です。次の全ての要件を満たす資産を指します。

【年金資産の要件】

  • 退職給付以外に使用できないこと
  • 事業主と事業主の債権者から法的に分類されていること
  • 事業主への返還、事業主からの解約・払出が禁止されていること
  • 事業主の資産と交換できないこと

年金資産は、期末のおける時価で評価されます。

年金資産は、期待運用収益の計算要素なので間接的には退職給付費用の構成です。この後説明する貸借対照表での退職給付債務の表示では、年金資産がポイントとなります。

退職給付債務と貸借対照表

退職給付債務の貸借対照表での表示について見ていきましょう。

結論から、退職給付債務から年金資産を控除した額を負債として計上します。しかし、年金資産が退職給付債務を超える場合には資産として計上します。

貸借対照表での表示

退職給付債務に未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異を加減した額から、年金資産の額を控除した額を”退職給付引当金”として計上します。

しかし年金資産が退職給付債務に未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異を加減した額を超える場合には”前払年金費用”として固定資産に計上します。

【退職給付債務のBSでの表示】

(退職給付債務ー未認識部分)> 年金資産 → 差額を退職給付引当金として負債計上
(退職給付債務ー未認識部分)< 年金資産 → 差額を前払年金費用として資産計上

三井不動産の貸借対照表をみると、確かに退職給付についての項目が確認できますね。

損益計算書での表示

既に見た通り、退職給付費用の損益計算書での表示は次の計算式の通りです。

【退職給付費用のPLでの表示】

退職給付費用=勤務費用+利息費用−期待運用収益±過去勤務費用の費用処理額±数理計算上の差異の費用処理額

ここで、第15回「退職給付会計の費用と計算」は終わりです。

最後に

證券アナリストなど、各種資格を効率的に取得されたい方は、資格スクールを受講するのも有意義です。

ただし、独学より費用は高くなってしまうので、資料請求して、しっかり吟味してから受講することをおすすめします。

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