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基礎知識

【市場再編】東証1部小型株の保有、買いの検討は今はよく考えて

「小型株」の定義

上場企業を時価総額で区分する「大型株」、「中型株」、「小型株」という言葉はあれども、その定義は実は厳密ではありません。

人によっては、日本株の場合TOPIXコア30に採用されると超大型株と呼ぶようですので、TOPIX100に入っていれば大型株ということになるでしょうか。

この記事でフォーカスしたいのは「小型株」です。

TOPIXニューインデックスシリーズで区分するならsmall2該当銘柄としておきます。東証1部の小型の銘柄と理解していただければいいでしょう。

2022年4月に東証の現物株市場は再編される

2022年4月に東京証券取引所は市場再編されることになっています。

新たに「プライム」、「スタンダード」、「グロース」という市場が誕生し、既存の上場銘柄はこの3つのどこかに所属することになります。

「プライム」市場の上場基準は現行の東証1部と異なるため、現在東証1部に所属する企業がすべて「プライム」に所属できるわけではありません。

2021年6月末時点の情報をもとに、東京証券取引所が各上場企業へどの市場に所属する見込みかを伝えており、2021年12月末が4月以降の市場選択期間で、2022年1月11日に移行日に上場会社が所属する新市場区分の一覧が東証から公表される見込みです。

「プライム」市場の上場基準を確認する

「プライム」市場の上場基準は以下の図のとおりです。現行の東証1部と大きく異なる点が「流通株式時価総額」です。

「流通株式」とはその名の通り、マーケットで取引される株式のことです。発行済株式のすべてがいつもマーケットで取引されているわけではありません。

東証は、以下の図の式で流通株式を計算することにしており、例えば10%以上を所有する株主や役員等の保有分、自己株式は流通株式とはみなしません。

出所:日本取引所グループ

この流通株式が発行済株式の35%以上であり、さらに株価を乗じた流通株式時価総額が100億円以上であることを「プライム」市場は求めています。

裏を返すと、発行済株式数ベースの時価総額が100億円未満の東証1部所属企業は流通株式数云々を問わず、「プライム」市場の上場基準に合致していないことになります。

筆者がスクリーニングしてみたところ、東証1部所属で時価総額が100億円未満の企業が275社ありました(2021/12/6現在)。

さらに時価総額が100億円超であっても、流通株式時価総額は100億円未満の企業が少なくありません。

仮に流通株式比率が「プライム」の最低基準である35%だとすれば、流通株式時価総額が100億円以上であるためには、

 発行済株式数ベースの時価総額×0.35≧100億円

でなければなりませんから、

 発行済株式数ベースの時価総額≧286億円程度

である必要があります。

なお、激変緩和措置として、東証は未達の基準についての猶予期間を設けてはいます。

「プライム」所属を「諦めた」企業

現在、一部の企業は2022年4月以降の所属市場をIRで公表しています。

中には、現東証一部所属企業が、2022年4月以降に「スタンダード」市場に所属することを公表し、その反応として株式が売られる事象が見受けられています。

時価総額が100億円未満であった不二電気工業(6654)は、12/2に2022年4月以降に「スタンダード」市場に所属することを公表したところ、12/3以降大きく売られています。

できれば、このような事態は避けたいところですが、実は流通株式時価総額を個人が計算するのは難しく、個人では判定しづらいです。

よって厳密なふるいに時間をかけるべきとは考えません。

個人的にお勧めできるのは、以下を実施することです。

  • 自分が保有している銘柄、あるいは買いを検討している銘柄はまず発行済株式数ベースの時価総額と市場を確認する
  • 仮に、東証1部所属で、発行済株式数ベースの時価総額が250億円未満であれば、適時開示を過去半年分ぐらい確認し、市場選択のアナウンスの有無を確認する。
  • ②に該当し、まだアナウンスが無い場合は、要判断。

さらに、気を払うべきと考えるのは、②の条件に合致して株主優待制度を設けているケースです。

現行の東証1部上場基準は直接上場やJASDAQからの移籍以外の場合、時価総額基準が非常に緩い一方で株主数には厳しいという特徴がありました。

その株主数要件を満たすために、多くの企業が設けた手段の一つが株主優待制度の導入でした。100株持っていても1000株持っていても株主は1人であり、「株主数」を増やしたいのであれば、100株で株主優待を実施することが一番効率的だったのです。

しかし、企業が「プライム」市場を「諦める」決断をするならば、企業にとって経費増のファクターである株主優待制度を維持する必要性が低くなります。

前述した不二電機工業も、100株保有の株主に付与していた株主優待を300株以上の株主にすることを「スタンダード」市場所属と同日に公表したことが、株式の売りに拍車をかけたと考えられます。

よって、

  • 東証1部所属
  • 時価総額が少ない
  • 株主優待制度を設けている

銘柄を保有、あるいは買いを検討している場合は、意思決定を慎重にするべきと考えます。

保有している人がそのまま保有していると、大きく売られる可能性を否定できません。

買いを検討しているならば、さしあたり2022年4月以降の市場が明らかになってからでも遅くないかもしれないからです。

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おせちーず

おせちーず

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト

#セミリタイア #サイドFIRE な"ゆるワーカー"/CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト/TOEIC950/サッカーは雑食だけど川崎Fサポ/MBAホルダー/がんサバイバー/投資歴約31年/旅/某大学非常勤講師 #優待 #おせちーずファーム #花「おせちーず」は自宅のぬいぐるみたちの総称 | フォロワー7,700人(2021年11月時点)

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コメント

  1. 2022.01.12

    […] 【市場再編】東証1部小型株の保有、買いの検討は今はよく考えて […]

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