実用的な投資・キャリア情報にアクセス

基礎知識

市場参加者とは?投資部門別売買動向の見方も解説

金融市場では日々莫大な金額が取引されていますが、一体どのような方が取引しているのでしょうか。

この記事では、市場参加者の種類と特徴を解説していきます。

市場参加者とは

市場参加者とは、株式市場や外国為替市場など、金融市場で実際に取引している者を指します。

参加者というと個人を連想しますが、ほとんどの割合を機関投資家や事業会社が占めているため、実際には法人が主な市場参加者ということになります。

市場参加者の種類

一口に市場参加者と言っても、金融機関や投資会社、個人投資家など様々な種類があります。

ここでは、各市場参加者の種類と特徴をお伝えします。

【市場参加者の種類】

  • 機関投資家
  • 自己売買(証券会社)
  • 海外投資家
  • 投資ファンド
  • 政府系ファンド(オイルマネー)
  • ヘッジファンド
  • デイトレーダー

機関投資家

機関投資家とは、保険会社や銀行・信託銀行など、他者のお金を大口で運用する主体を指します。

運用している資金の性質上長期的なスタンスで投資するため、中長期的な流れを形成することが多いです。

機関投資家の例は次のとおりです。

銀行利子に充てるために預金を運用する
投資会社資産を増やすために投資資金を運用する
保険会社保険金原資を増やすために保険料を運用する
年金基金年金原資を増やすために年金保険料を運用する

自己売買(証券会社)

自己売買とは、証券会社自身が自社資金で運用することを指します。

証券会社が自己売買することをディーリングと言いますが、その動向は投資部門別売買状況で公表されています。

投資部門別売買状況とは?

東京証券取引所が、個人・外国人・金融機関など、投資家ごとの売買動向をまとめたもの。

原則翌週第4営業日に公表される。

過度な自己売買は相場操縦に繋がれると言われているため、取引対象や売買限度枠を取り決めている「自己売買基準」が証券会社には適用されています。

海外投資家

海外投資家とは、日本に居住しない投資家の総称です。海外の機関投資家やヘッジファンドなどが該当します。

東京証券取引所によると、海外投資家の定義は次のとおりです。

・外為法(「外国為替及び外国貿易法」)第6条第1項第6号に規定する「非居住者」。 なお、日本企業の在外支店及び現地法人については「非居住者」となるため、「海外投資家」に含まれるが、下記b.を除く外国企業の在日支店については「居住者」となるため、下記(5)「その他法人等」または(9)「その他金融機関」に含まれることとなる。 また同様に、外国企業の日本の現地法人についても「居住者」となるため、それぞれの属する投資部門に分類されることとなる。

・東証非取引参加者である外国証券会社の在日支店。

引用元:日本取引所グループ

投資部門別売買状況によると、海外投資家は委託売買の7割を占めており、日本の金融市場で高いプレゼンスがあります。

取引金額から見ても、最も注目すべき市場参加者と言えるでしょう。

投資ファンド

投資ファンドとは、投資家から集めた資金を金融商品に投資し、得た収益を投資家に分配する投資主体です。

ここでいう投資ファンドは、公募型の投資信託を指しており、ベンチャーキャピタル(VC)や商品ファンドなどが該当します。

特徴としては、上場されている銘柄以外も投資対象として扱っている点であり、未上場株式や不動産に投資する投資ファンドも多いです。

投資ファンドの種類は次のとおりです。

公募型投資信託一般の投資家を対象に、金融商品やコモディティ等で運用
VCIPO・売却を目的としたベンチャー企業で運用
バイアウトファンド経営再建やMBOを目的とした企業や事業で運用
不良債権ファンド不良債権の担保不動産の転売や再活用後の収益で運用
商品ファンド金や原油などの商品で運用

政府系ファンド(オイルマネー)

政府系ファンドとは、政府が出資者となって運用する投資主体です。SWF(Sovereign Wealth Fund)とも呼ばれています。

【政府系ファンドの例】

  • 原油国(中東、ロシア)が原油輸出によって得た資金を運用するケース
  • 貿易黒字国(中国、シンガポール)が外貨で運用するケース
  • 為替介入(トルコ)で運用するケース

ちなみに、政府系ファンドはオイルマネーとも言われることがあります。

政府系ファンドの代表格は原油国のファンドであり、原油取引で得た資金がファンドの原資になっていることが由来です。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、特定の投資家から資金を募る私募によって、投資家の細かいニーズに対応した運用を行なっています。

先述した投資ファンドとは異なり一般の投資家から資金を募っていないため、情報開示の義務がなく、投資家保護規制も緩く、柔軟な運用が可能なファンドです。

運用益への課税負担を極力減らすために、タックスヘイブンに設立されることが多いのも特徴です。

一般的な投資信託とは異なり絶対収益を目指すため、ハイリスク・ハイリターンな運用が行われています。

デイトレーダー

デイトレーダーとは、1日に何度も取引する個人投資家を指します。

基本的に1日以内にポジションを解消するケースが多いですが、市場の動向によって柔軟に対応します。

出所:invest Navi

ビジネスモデルやビジョンに投資するのではなく、単純にその日の株価の変動による”さやとり”を目的にして取引している点が特徴です。

投資部門別売買状況の見方

市場参加者の動向を知ることは投資においてとても重要です。市場において誰がどんな取引を把握していないと流れを掴めないからです。

東京証券取引所が公表している「投資部門別売買状況」を確認することで、市場参加者の動向を掴むことができます。

ここでは、投資部門別売買状況の見方を解説していきます。

自己計・委託計とは

自己計とは、証券会社が自己資金で運用している自己取引を指しています。委託計とは、証券会社が他者から取り次いでいる取引を指しています。

比率を確認すると、自己取引は全体の10%前後しか占めていないので、市場参加者の多くは証券会社以外だと分かります。

自己取引の動向を知りたい時は、自己計の差引きを確認します。12/13〜17は54,234,042千円買い越してますが、12/20〜12/24は-36,580,215千円と売り越していることが分かります。

委託内訳

出所:日本取引所グループ

委託内訳は、市場参加者の90%を占める委託取引の内訳を示しています。

法人とは、国内の金融機関や事業会社が該当します。

個人は、先述したデイトレーダーや、ネット証券で取引している個人投資家が該当します。

海外投資家は先述のとおりです。ポイントは比率であり、市場の70%弱を形成していることが分かります。

よく「日本の株式市場は海外投資家に占拠されている」と表現されるのは、こちらのデータが参照されています。

法人内訳

出所:日本取引所グループ

法人内訳は、先述した法人をさらに細分化した取引データを示しています。

投資信託とは、先述した投資ファンドなどが該当します。

事業法人とは、金融機関以外や海外投資家以外の株式会社や持分会社を指します。企業の自社株買いが反映される箇所です。

その他法人等とは、政府系ファンドや、財団法人、外国企業の在日支店等が該当します。

金融機関は名前のとおり金融機関を指しています。後述します。

金融機関内訳

出所:日本取引所グループ

金融機関内訳とは、金融機関の種類による売買状況を示しています。

ちなみに、金融機関のなかで信託銀行の売買金額が突出して多いのは、GPIFなどの年金基金の取引を受託しているからです。

その他金融機関とは、信用金庫、信用組合、農林系金融機関、各種共済、政府系金融機関、外国銀行の在日支店等が該当します。

その他は名前のとおりです。

投資部門別売買状況でみる戦略

次に、投資部門別売買状況を活用して、投資戦略をいくつか立ててみましょう。

海外投資家の動向でトレンドを把握する

海外投資家の動向は、日経平均を先回りする形で変動でします。

画像を見るとわかるように、海外投資家の動向を表す青線は、日経平均を先行する形で移動しているのが分かります。

そのため、海外投資家の売買動向のトレンドが転換を迎えてたら、素直に順張りすることが有効と言えるでしょう。

個人投資家の動向で逆張り時を把握する

個人投資家の動向は、海外投資家や日経平均とは逆の動きをします。つまり、逆張りの指標として活用できるのです。

紫線を見るとわかるように、きれいに逆行していることが分かります。

個人投資家がトレンドと逆の動きをするのは、下げ時に買って、少しでも高くなったら売るという個人投資家心理を反映させているからと言われています。

個人投資家の動向を見ることで、ポジション解消やショートのタイミングとして活用できます。

ユーロ/円と調整する

日本株のメインプレイヤーは海外投資家です。

海外投資家というと米国のウォール街を想像しますが、日本株においてのメインプレイヤーは欧州の投資家です。

しかも比率はかなり高く、海外投資家の7割超が欧州投資家です。日本市場の約70%を形成している海外投資家のうちの70%超なので、日本株市場の約50%(70%×70%)は欧州投資家によって成り立っていると言えます。

また、海外投資家は自国通貨建てで取引するため、ユーロ/円の動向が重要となります。

欧州投資家にとっては、日経平均が下落してもユーロ安円高になれば為替損益でカバーできるため、後々買いが入ることは十分考えられます。

逆に言えば、日経平均が下落しさらにユーロ高であれば、一層の下落が見込まれるでしょう。

最後に

今回は市場参加者と投資部門別売買状況について見てきました。

今後も投資に役立つ実用的な情報をわかりやすく発信していきます。

こちらの有料コンテンツでは、より実用的でかつあまり発信されていない情報をどんどん更新していくので、是非ご登録くださいませ!

業界初、現役IFAがキャリア・アドバイザーを務める転職サービス「IFA PASS」

  • 投稿者情報
  • この投稿者の新着記事
まるぷー

まるぷー

元スイス系証券会社でウェルスマネジメント

スイス系証券会社でウェルスマネジメント→まるぷー/ ヴェリタスとアナリストレポートが好物です/ Twitterフォロワー11,800人(2021/12時点)

  1. 【経済指標】消費者物価指数とは?見方・影響

  2. 【コモディティ】銅価格の変動要因・関連銘柄を解説!

  3. 【経済指標】米小売売上高とは?見方・影響

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

ブログ村

人気記事

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 登録されている記事はございません。
  1. 登録されている記事はございません。

カテゴリー

関連コンテンツ

PAGE TOP