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【初心者でも安心】米国の金融政策の読み解き方

どのような商品に投資していても、おそらく米国の金融政策から全く影響を受けない商品はないと思います。

しかし、投資初心者や英語が苦手な方にとっては、FRBだのFOMCだの色々あって分かりにくいと思います。

そこでこの記事では、米国の金融政策を読み解き方や注目点をわかりやすくお伝えしていきます!

米国の金融政策を読み解くポイント

米国の金融政策を読み解く上で欠かせないポイントは次の4つです。

  • WHO「誰が」
  • WHY「なぜ」
  • HOW「どのように」
  • WHEN「いつ(どの材料)」

一体誰が、いつ、何のために、そしてどのように金融政策を行うのでしょうか。この4つのポイントを全て明確にしない限り、金融政策を理解するのは難しいでしょう。

順番に説明していきます。

誰が金融政策を実施しているのか

まず初めに誰が金融政策を実施しているかですが、連邦準備制度(FED:Federal Reserve System)が米国の金融政策を担当しています。

え?米国の金融政策って、米国の中央銀行であるFRBが決めてるんじゃないの?

このように思った方は鋭いです。ただし、間違っていませんが正確ではありません。

FEDは連邦準備制度であり、主に3つの組織体から構成されています。

1つ目は、皆さんご存知のパウエル議長が代表を務める連邦準備制度理事会(Fedral Reserve Board of Governors)であり、金融政策の方針を決める中心的役割を果たす組織です。米国の首都であるワシントンにあります。

2つ目は、全米12地区に置かれている連邦準備銀行(FRB:Federal Reserve Bank)です。理事会の監督下で活動していますが、形式的にはそれぞれ独立した株式会社です。

3つ目は、マーケットがもっとも注目する連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)です。年に8回開催され、FRBメンバーで米国の金融政策を決定する重要な会合です。

このように、米国の金融政策は、上記3つの組織を構成するFEDが決定していきます。

なぜ金融政策を実施するのか

なぜ金融政策を実施するのかについては、FEDの目的から逆算することで読み解くことができます。

conducts the nation’s monetary policy to promote maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates in the U.S. economy”

「雇用の最大化・物価の安定・穏やかな長期金利を目的として、国の金融政策を実施する」

引用元:Federal Reserve Board

つまり、金融政策を行わない場合、雇用が生まれず無職者が溢れ出し、物価は乱高下して経済活動が停滞したり、長期金利は暴走して金融がおかしくなったりする可能性があります。

FOMCの結果やパウエル議長の発言で一喜一憂する方が多いですが(私もその1人)、FEDは投資家に意地悪したいわけではなく、純粋に米国の経済・金融活動を、金融政策を通して適切な方向に導きたいだけなのです。

これが金融政策の目的です。

どのように金融政策を実施するのか

どのように金融政策を実施するかですが、FEDは次の3つの手段を取ると公言しています。

The Federal Reserve controls the three tools of monetary policy–open market operations, the discount rate, and reserve requirements.

「FEDは次の3つの手段を調整することにより金融政策を実行する。”公開市場操作””固定歩合””預金準備率”」

引用元:Federal Reserve Board

3つの手段について説明すると長くなってしまうので、ここでは、金融政策とはこの3つの手段を実行することである、と覚えてもらえたらと思います。

※3つの手段の詳細については近々有料サブスクにて発信するので、是非ご購読くださいませ(記事最後をチェックしてね)

金融政策はいつ実施するのか?

いつ金融政策を実施するかについては、先述したように年8回あるFOMCがその答えとなります。

しかし、FOMC以外でも金融政策の方向性が読み取れるイベントがあるのであれば、私たち個人投資家をはじめとするマーケット参加者は注目すべきでしょう。

次の章にて、金融政策を読み解くタイミングやその材料をお伝えしていきます。

米国の金融政策を読み解き方

米国の金融政策の読み解くためには、FOMCをはじめとするFED関連のイベントに注目することが重要です。

ここでは、個人投資家が押さえておくべきイベントや材料を5つご紹介します。

【注目すべきFED関連のイベント・材料】

  • FOMC声明文
  • FOMC議事録
  • 議長会見
  • 経済見通し(ドットチャート)
  • ベージュブック

FOMC声明文

FOMC声明文とは、FOMC最終日に公表される声明文のことであり、FOMCの金融政策に対する姿勢や認識を確認することができます。

【FOMC声明文で確認できること】

  • 経済や物価に対する認識
  • 経済成長と物価のリスクバランス
  • 今後の金融政策運営方針

本当に上記3つが確認できるのか、実際の声明文から抜粋して一緒にチェックしていきましょう。

目的は上記項目が確認できるかどうかなので、和訳は部分的となっています。

Job gains have been solid in recent months, and the unemployment rate has declined substantially. Supply and demand imbalances related to the pandemic and the reopening of the economy have continued to contribute to elevated levels of inflation

下線のみ部分和訳:「雇用はここ数ヶ月は力強い、失業率は実質的に低下している、経済は依然として高い次元のインフレ状況にある」

引用元:Federal Reserve issues FOMC statement(2021/12/15)

確かに、足下の経済状況や、物価、雇用に対して言及しています。

In support of these goals, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent. With inflation having exceeded 2 percent for some time, the Committee expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee’s assessments of maximum employment. 

下線のみ部分和訳:「FOMCはFFレートを0~0.25%に誘導し続けることを決めた、インフレ率が2%を超えている状況下では、この水準を維持するのが適切だと考えている。」

引用元:Federal Reserve issues FOMC statement(2021/12/15)

また、読み進めると、確かに今後の金融政策方針についても読み取ることができます。

FOMC声明文をしっかり読むことで、FEDが米国経済をどのように認識し、今後どう対策するのかが見えてくるのです。ここがわかれば、自ずと何に注目すれば良いかもわかっていきます。

(例:FEDは今回のFOMC声明文で明らかに物価を意識しているので、経済指標で言えば消費者物価指数や米小売売上高、企業決算で言えばウォルマートやコストコの1人あたり消費量などから、足下の物価状況を考察し、今後の金融政策の対策に役立てることができます)

興味のある方は、FEDのプレスリリース検索から”Monetary Policy”にチェックを入れて、”Federal Reserve issues FOMC statement”を実際に読んでみると良いでしょう(結構な英語力が必要です)

出所:出所:Federal Reserve Board

FOMC議事録

FOMC議事録とは、FOMCの3週間後に公表される資料であり、FOMCでの議論や公式見解を確認することができます。

時々、FOMCの開催日と議事録公表日を混同している方がいますが、両者の公表日は異なるので注意しましょう。

議事録の内容は概ね次のとおりです。

【FOMC議事録の内容(冒頭から順に)】

①:経済情勢の確認
前回のFOMC以降の米国経済について、ベージュブック(後述します)を基に確認し合う。
②:金融政策の振り返り
前回採択された金融政策の結果、金融市場がどう反応したかを報告し合う。
③:経済予測
統計局が作成したグリーンブック(経済予測資料)の内容が紹介される。
④:議論内容
①〜③を踏まえて、メンバーが議論する。議事録のメインの内容であり、景気見通しや金融政策変更の是非について議論される。最後に、金融緩和・引き締め・現状維持かを結論づける
⑤:NY連銀への指令内容
実際に公開市場操作を行うNY連銀への指令内容がまとめられている。

こちらも声明文と同様に公表されているので、英語力に自信のある方は直近の議事録を確認すると良いでしょう。(無味乾燥なのでかなりきついです笑)

Federal Open Market Committee「Meeting calendars, statements, and minutes (2016-2022)」

議長会見

議長会見とは、名前のとおりFRB議長が四半期ごとに行う会見であり、声明文を公表してから約30分後に開催されます。

会見は、議長が足下の金融状況に関する認識やFOMCでの決定事項について説明し、記者から質問を受ける流れです。

声明文の内容に関する議長自身の考え方や、追加的な情報が示唆されることも少なくないため、マーケットを動かすことがしばしばあります。

FOMC自体は年8回開催されますが、そのうち四半期期末の4回で議長会見が行われます。つまり、金融政策の変更があるとすれば、議長会見が予定されているFOMC開催日の可能性が高いと言われています。

議長会見が気になる方は、FEDより過去分を確認することができます。

Speeches of Federal Reserve Officials

経済見通し(ドットチャート)

経済見通しでは、GDP成長率や失業率など重要な経済指標の見通しや、FOMCメンバーが適正と考えるFF金利の見通しを確認することができます。声明文と同時に公表されます。

FF金利の見通しに関してはドットチャートで表現されているため、単純にドットチャートとも言われています。

ドットチャートは、FEDがどのような金融政策が適正とみているかを知る上で参考になることに加え、前回との変更点を照らし合わせることで、FEDの今の経済状況への見方やその対応策をどう取るかについてヒントを得ることができます。

ベージュブック

ベージュブックとは、FRBの地区連銀が管轄地域の経済状況をまとめた報告書です。表紙がベージュ色なのでベージュブックと呼ばれており、FOMCの2週間前に一般公開されます。

FOMC議事録でも確認したように、そもそもFOMCはこのベージュブックを参考に議論されるため、2週間先立って公表されるベージュブックもチェックすると良いでしょう。

ただし、結局はベージュブックを踏まえてどのような金融政策を実行するかが重要ではあるため、常にフォローしておく必要はないかもしれません。

経済指標や株式指数について異変を感じたときに、次回のベージュブックを確認するぐらいで良いでしょう。

Summary of Commentary on Current Economic Conditions by Federal Reserve District

最後に

いかがでしたでしょうか。

米国の金融政策は、どのような商品に投資していてもかなず影響を受ける重要なイベントだと思います。

英文資料を読み解く必要はありませんが、FEDの構成や金融政策の材料やその意味について知っておくことは、金利の変動が激しい今のマーケットでは特に重要だと思います。

今後は、今回ご紹介した各材料の深掘りや、FEDの組織構造についてより丁寧に解説する記事をどんどん更新していきますので、是非サブスクをご登録ください!

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牧野章吾

牧野章吾

証券マーケット→株式会社LIONEL創業

証券リテール→証券マーケット→株式会社LIONEL創業/ わんこが好きです

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