発表された新市場区分
2022年4月4日に東証の株式市場が再編されます。
再編については既に掲載しているこちらの記事をご覧ください。
1月11日に東京証券取引所は、株式市場再編後の全上場企業の所属先を公表しました。実質最上位の「プライム」には1841社が上場するそうです。
現東証1部のうち8割強が移行し、プライム以外に移る企業は2割弱にとどまりました。再編には上場基準を厳しくして新陳代謝を促す狙いがあるとされましたが、基準を満たさなくてもプライムに上場できる例外規定を約300社が活用しており、筆者個人としては再編の意義に首をかしげたくなる部分もあります。
実は事情があると思われる
とはいえ、東証がさしあたりプライム市場に多くの企業を在籍させる意義はあります。「上場料金」です。
企業が株式を上場させるときには、上場審査料等を取引所に支払います。さらに、上場し続けている限り「年間上場料」という費用が発生します。
現東証1部の例が以下の図です。
時価総額に応じた料金が発生するということです。端的に言えば、東証の収益源です。 この費用は、市場が再編されても発生します。
どの時価総額区分においても、プライム市場の方が24万円多いことがわかります。
この料金表を見れば一目瞭然ですが、1社でも多くプライム市場に在籍してもらった方が、東証の収益は多いわけです。
もちろん、東証としては上場している企業の成長を祈っていることでしょう。その方がお互いwin-winの関係になれますから。
だからこそ、基準を満たさない企業にも投資家の目に触れやすいプライム市場にさしあたりは在籍してもらい、業績の成長から株価の成長につなげて、基準を満たす企業になってもらいたいという思いも込められていると思います。
とはいえ、東証もJPXという上場企業の傘下にいる企業です。収益を無視するわけにはいかない事情があると考えます。
だから、プライム市場に在籍する銘柄を厳しく選別しなかったと解釈もできるなと感じます。
市場を変えるのにもお金がかかる
実はこれから先、仮にプライム市場からスタンダード市場に市場を変更するということがあったとしても、それはそれで実は上場企業側の費用が発生します。 これは現在も運用されているルールです。
意外と知られていないのではないでしょうか?
どの市場に上場していようと、上場企業にはそれなりの費用が必要だということを知っていただけたら嬉しいです。
筆者個人としては、この株式市場再編に伴いMBOなどで非上場化する企業が多くなると思っていたのですが、現時点ではそれほど多くないという印象です。
MBOとは?
Management Buy-Outの略で、経営陣(もしくは従業員)が自社株式や一部事業を買収して独立すること
各市場の上場基準を満たしていない企業は東証に提出した基準を満たすための計画書にもとづき、今後年に1度以上進捗状況を東証に報告する義務があります。
計画書を提出している企業がどれかは、検索して確かめることができますので、今一度保有銘柄と照らし合わせたうえで、今後の行方をウォッチしてください。
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