こんにちは、かずです。
今回は「ピンバー」について解説します。
ピンバーとは、ロウソク足のヒゲの部分が長く伸びて実体部分が短いローソク足の形のことです。
長く伸びたヒゲは、一旦は逆方向に値を伸ばすが、その後の値動きで押し戻されたことを意味します。
ピンバーはロケット噴射のごとく、チャートの転換を示唆するプライスアクションのひとつです。
前回の記事「チャート反転パターンを利用したエントリーの実践方法」で解説したダブルボトムや、逆ヘッドアンドショルダーのようなチャート反転パターンと比較してロウソク足1本の形のみで判断できるので、より初心者向けかつ実践的に利用できます。
本記事では「ピンバー」を利用して
- トレンドフォローをする方法
- フィボナッチリトレースメントやチャート反転パターンと組み合わせて、より優位性が高いエントリーポイントを探る方法
についてお話していきたいと思います。
このシリーズでは「知識を身につけるだけでなく、実践で使える記事」を目標に書かせていただいています。
「面白かったな。勉強になったな。」と感じていただくことはもちろん筆者としては嬉しいです。
記事を利用して、テクニカル分析を身に着け、実際に投資で結果を出していただきたいという思いをこめて書いています。
記事を読んで検証を重ねることで、これまで「値ごろ感でなんとなく売ったり買ったり」していた雰囲気投資家から脱却するための「テクニカル分析」という大きな武器を手に入れることができると自負しています。
この記事を読んだらさっそくチャートで検証して「使える!」という感覚を身に着けていただきたいです。
では講釈はこのくらいにして「具体的なピンバーの意味とその使い方」を解説していきます。
ピンバーとは?
百聞は一見にしかずで、実際のチャートの中のピンバーを見ていただきましょう。

これはS&P500の週足チャートからの抜粋ですが、真ん中のピンクの長方形で囲まれたロウソク足が「ピンバー」であり、以下のような特徴があります。
【ピンバーの特徴】
- チャートのロウソク足の形の一つ
- ロケット花火のような形
- 噴射方向(ヒゲと反対方向)に相場が進む可能性を示唆する
※ちなみに以下の図のようにピンクの四角で囲んだブロック形の部分を「ロウソク足の実体」といい、青い長方形で囲んだ線の部分を「ロウソク足のヒゲ」といいます。

では、さっそく実際に「ピンバー」が出た場面を見てみましょう。
以下は、2021/4のUSD/JPYの日足チャートです。ピンクの長方形で囲んだ部分がピンバーを形成しているのがわかります。

拡大してみましょう。

実際の相場でもピンバーが確定した後、USD/JPYチャートは上昇へ向かっていきます。
日足ではピンバーが形成されていますが、この1日のロウソク足の動きは細かく見るとどうなっているのでしょうか?
これを理解することで、テクニカル分析における「マルチタイムフレーム分析」という手法をマスターすることに繋がります。
マルチタイムフレームとは?
一つのチャートで他の時間軸のインディケーターを表示することです。
一目で短期と長期の状況を把握することができ、多面的な分析が可能となります。
この日足でピンバーの部分を、もう少し細かい時間足で観察してみましょう。同じ部分の1日の動きを1時間足でみると、実はこんな形になっています。

ちょうどダブルボトムを形成しているのがわかります。
僕の記事でテクニカル分析を勉強して頂いている方はもうご存知かと思いますが、ダブルボトムは代表的なチャート反転パターンの一つです。
忘れてしまった方は、前回の記事で復習してみてください。「チャート反転パターンを利用したエントリーの実践方法」
さて、ピンバーの見方やその動きを概ね把握できたと思いますので、さっそく実践に入っていきたいと思います。
テクニカル分析はとにかく習うより慣れろです。知識を身につけるのではなく、どんどん実践していきましょう!
手を動かしてなんぼです。
ピンバーの活用方法
ピンバーを用いたトレンドフォローの実践的手法
以下は2021年の絶好調だったS&P500の日足チャートです。
買ってれば儲かった相場ではありましたが、買い増しをするタイミングとして適切な場所は無いでしょうか?

僕には、このチャートの真ん中に「ピンバー」が見えます。

もう一度、広げてチャートを見ましょう。

ピンバーでエントリーした後に、綺麗に反発し、押し目買いが成立しているのがわかりますね。 さらにこの場面、日足でダブルボトムを形成していませんか?

「ダブルボトム」形成後の「ピンバー」成立で買いのエントリーというシナリオが構築できます。
さらに追加で、以前の記事で勉強したフィボナッチリトレースメントも使ってみましょう。
復習になりますが「わかりやすい直近の安値から高値へ引く」です。(詳しくは前回記事参照ください)

だんだん理解が深まってきたでしょうか?
「ダブルボトム」+「フィボナッチリトレースメント50%」+「ピンバー」でエントリーという華麗なロングエントリーの根拠が形成されました。
逆ピンバーを用いた手仕舞いのタイミング・ショートチャンスを見抜く
では、逆のパターンを一つ紹介しましょう。
ここまでは「買いエントリー」のポイントを探る手段としてピンバーを用いましたが、相場から逃げる判断をする際にも有効です。 以下は、直近のNASDAQ100の日足チャートです。

ピンクの長方形で囲んだ部分に「逆向きのピンバー」が発生しています。これは「上向きピンバー」と異なり、今度は下方向への優位性を示すロウソク足となります。
さらに、フィボナッチリトレースメントをあててみましょう。
やり方はもう分かりますね?「直近の高値から安値に引く」です。

いかがでしょうか?
見事にフィボナッチ50%で反発しているのがおわかりいただけると思います。さらに直近の形からダブルトップを形成しています。
この場面はすなわち、今後相場は下落方向に向かうことを示唆しており、ポジションを手仕舞いするには絶好のタイミングとも言えます。
そして、「フィボナッチ50%」+「ダブルトップ」+「逆ピンバー」でショート(売り)エントリーの絶好の場面であることも伺えます。
※実際に筆者は、この場面でNASDAQ100の3倍ベア(ショート)をエントリーしています。
いかがだったでしょうか?
まとめ
【今回のまとめ】
- ピンバーとは、チャートのロウソク足の形の一つで、ヒゲと反対方向に相場が進む可能性を示唆する
- ピンバーにフィボナッチリトレースメントやチャート反転パターンを併用すること優位性の高いエントリーポイントや、ポジションの手仕舞いのタイミングを図ることができる。
ピンバーはテクニカル分析の初心者でも比較的見分けやすいものですので、この記事を読んだらすぐチャートを確認して様々な場面でピンバーを確認してみてください。
きっとこれまで「値ごろ感でなんとなく売ったり買ったり」していた雰囲気投資家から脱却する大きな武器を手に入れることができると思います。
さて、ここで毎回お話させていただいている大切なお話。
これって僕が都合のいいピンバーが当てはまるチャートの場面を持ってきて、「ほらね?効果あるでしょ?」と解説しているだけかもしれません。
後付で都合のいいチャートを持ってきて、当てはまる場面なんていくらでも作れます。
実践で使うには、100%ではないにしても「確率的に優位性がある」という判断の元、「未来の価格」を推測できなければ意味がありません。
ですので、この記事を読んで「マジでピンバー使えるかも…」と思った方は『必ず自分でバックテスト(過去検証)をして様々な場面でこの手法が当てはまる可能性が高い』ことを確認してください。
鵜呑みにするのではなく自分で検証する、という過程が非常に重要です。
自分で過去検証することで
- その手法が本当に優位性があるかを確認できる
- 自分で確認しているからこそ確信を持って身銭を切り、その手法で実際に売買ができるようになります。
この過去検証を経ないと、僕が様々な手法を解説しても宝の持ち腐れになってしまいます。
ぜひ、皆様ご自身でいろいろな銘柄、場面でピンバーを見つけてみてください!
繰り返しになりますが「勉強して満足」ではなく「実際にテクニカル分析を利用して投資で勝つ!」を体験していただければ、筆者にとってこれ以上の喜びはありません。
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