友人から受けた相談
先日、学生時代の友人に数年ぶりに会いました。
50代前半の筆者と同い年の彼女には2人の息子がいて、長男さんは大学に進学し昨年20歳になったそうです。
それで、彼女に相談されました。
「息子の国民年金保険料をとりあえず昨年秋に半年払っているんだけど、今後も払った方がいいのかなぁ?」
昨年秋に20歳になった息子さんには国民年金に加入する義務が生じています。
が、1ヶ月16,500円余りの年金保険料をさしあたり就職するまで払うべきなのかどうか悩んでいるということでした。
彼女は資産運用にも比較的積極的な人で、数年前に会った時も株式運用をしていると聞いていました。そんな彼女なので、国民年金保険料を払うよりも運用した方がいいんじゃないかと考えたようです。
筆者の答えは「払えるなら払った方がいい」でした。


20歳で強制加入
20歳以上60歳未満の人で、厚生年金保険に加入していない方は、すべて国民年金の第1号被保険者または第3号被保険者となります。また、国民年金第1号被保険者は毎月、保険料を納めることが必要です。
第3号は第2号被保険者の配偶者になりますから、婚姻関係が無い大学生であれば20歳に達した時点で国民年金第1号被保険者となり、保険料を納める義務が発生します。
厚生年金に加入していない場合、20歳になった方には、概ね2週間以内に
- 基礎年金番号通知書
- 国民年金加入のお知らせ
- 国民年金保険料納付書
- 国民年金の加入と保険料のご案内
- 保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、
- 返信用封筒
が送付されます。

保険料は同封されてきた納付書を使って、金融機関やコンビニエンスストアで払い込みが可能です。また、口座振替やクレジットカード納付も可能です。
まとめて前払いすることで割引が受けられる「前納」という仕組みもあります。
前納は申出月からの開始となるので、20歳到達月(20歳の誕生日の前日が含まれる月)からの納付を希望する場合は、早めに年金事務所に申し出る必要があります。
また、定額保険料のほかに月額400円を追加して納付することにより、将来の老齢基礎年金を増額できる「付加保険料」を納付することもできます。
国民年金は老齢年金だけではない
年金というと老後の生活を支える制度のように聞こえますが、国民年金がカバーするのは老後に受給する「老齢年金」だけではありません。
万が一障がい状態になった場合の障害年金受給資格を得られるのも国民年金に加入していればこそです。
障がいや死亡といった不慮の事態が生じた場合に、
- その事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上ある場合、
または
- その事故が発生した月の前々月までの1年間に保険料の未納がない場合
には、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。


学生には「学生納付特例制度」がある
筆者に相談してきた学生の納付に関しては、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
特例制度利用中も年金加入期間とみなされますので、前述した障害基礎年金等の受給に該当するような状態になった場合には、相応の年金が支給されます。
学生納付特例を受けようとする年度の前年の学生の所得が一定以下(*1)の学生(*2)が対象となります。
なお、家族の方の所得の多寡は問いません。
結論から言えば、多くの学生が所得要件には該当するでしょう。
(*1)所得基準(申請者本人のみ)
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(*2)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれる。詳しくは日本年金機構websiteを参照。(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html)
特例納付の申請は、年金事務所か住民登録をしている市町村役場の国民年金担当窓口で可能です。また、日本年金機構のwebsiteから申請書をダウンロードして、記入後郵送することも可能です。

申請は年度単位ですので、20歳になった翌年度には改めて納付特例申請する必要があります。
「納付特例」申請した期間分は追納できる
学生納付特例期間については、10年以内であれば保険料を追納ができます。
学生納付特例期間の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。詳しくは、日本年金機構websiteの「国民年金保険料の追納制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html)で確認してください。
老齢基礎年金を受け取るためには、原則として保険料の納付済期間等が10年以上必要です。学生納付特例制度の承認を受けた期間は、この10年以上という老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。
ただし、保険料が未納であれば、老齢基礎年金の額の計算の対象となる期間には含まれません。老齢基礎年金を満額受給するためには40年の納付が必要です。希望する人は特例納付期間分を追納しなければいけません。
学生時代に納付していなかったという読者さんがいらっしゃるかもしれません。
ねんきん定期便などで加入記録を確認できますので、この記事をきっかけに追納等の検討して頂けたら嬉しいです。
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