9月第2週のマーケット動向のおさらいと注目銘柄の解説行います。
1週間のまとめと翌週のマーケットのポイントについても発信しているので、是非最後まで読んでみてください。
9月7日(火)のマーケット解説
マーケット全体の解説
先週末に発表された雇用統計が予想を大幅に下振れたことや欧州の経済指標が軟調な数字だったことを受けて、シクリカルを中心に米国も下落した。
注目された銘柄:Disney
この日、DisneyはHuluの値上げを発表し株価を上昇させた。
Disneyはもともとはご存じのテーマパーク事業やTV事業(実はDisneyは世界最大のTV局)が収益の中心だったが2019年からはDisney+などの動画配信サービスに注力している。
実はDisneyHuluの運営もしているため、今回の値上げによる収益性の工場はポジティブに受け入れられた。なお、動画配信事業はサブスク収入といって今後入ってくる金額がかなり読みやすいため将来の収益をあてにした先行投資を行うことができる業界。
ただ、その根源にあるのはサービスの登録者が何人いるのか?という点になるので、このような銘柄に投資をする際はMAU(アクティブユーザー数)に注目してあげることが大事。
9月8日(水)のマーケット解説
マーケット全体の解説
コロナ感染拡大を背景に芳しくない米国経済状況を受け、バンカメなどが今年の経済成長見通しや、年末のS&P500の目標株価について下落可能性を示唆するコメントを出したことなどを受けてエネルギーなどの景気敏感株が下落し、公益などのディフェンシブ株が上昇した。
一方で7月の求人件数が5か月連続で最高を更新している状況を受け、雇用回復は今後も継続するとの見方から下落は小幅にとどまった。
マーケットの注目点
9/6に米国では失業保険の上乗せがすべての州で終了となる。これまで米国の失業者数が減少しない要因の1つに、豊富な失業保険があったからだという指摘は多い。
最大で月に25万円の上乗せ!があったため労働意欲が減退していたという指摘である。
そのため今後発表される失業保険申請数は手当打ち切り後の労働市場が、景気が悪いため需要がなかったのか、それとも景気はいいが手当が厚く働きたい人がいなかっただけなのかがわかる。
注目された銘柄:Paypal
ペイパルは7日に日本の後払い決済サービス会社であるPaidyを高値で買収したことを発表。
Paypalは2020年初から株価を大きく上げ、1年8か月で株価は2.5倍近くになっている。Visaやマスターカードがほぼ株価が変わらない状態である一方、Paypalが大きく上昇しているのには理由がある。
その理由の一端にこの買収が絡んでいる。今回のPaypalのPaidy買収はこのPaidyという会社が後払い決済サービスの会社だということがポイントだ。昨今Paypalなどの決済サービスはアメリカの若年層を中心にクレジットカードよりも人気を集めている。
最近の決済サービス界隈はBNPL(Buy now Pay later)という後払い需要が拡大している。例えばPaypalの競合のスクエアもアファームという後払い決済サービス企業を買収している。この背景には若年層のクレジットカード離れがある。
現在、米国の若年層(10~30代半ば)はカード利用をしなくなっている。 この背景にはクレジットの与信に通らずそもそもクレカを持ちにくい現状、高額商品は分割で買いたいがクレカは手数料が高い、という要因がある。そこでPaypalなどが提供するBNPL方式が人気を集めています。
これはクレカなどの利用とは違い分割手数料を店舗が負担するのが特徴です つまり店舗が購入を促すために利用料を肩代わりするシステムですが、実際に日経MJ調査によるとBNPLが利用可能なサイトが注文額が+85%、リピーターは20%増えるというデータもあるので、サイトとしてもBNPLはありがたいようです。このBNPLという方式は主にECサイトで採用されていることからECサイト×若年層という今後の伸びしろを多くカバーしています。
Visa、マスターが旅行先での需要減少で苦しんでいる中、Paypalの主戦場はECサイトのためコロナでの外出自粛が追い風になっている部分もあります。若年層はクレカの審査に通りにくい中、Paypalの利用ハードルの低さもあり拡大をしています。
つまり
- 若年層はクレカ審査の厳しさや、分割手数料の高さからクレカ離れ
- 若者でも審査が緩く、ECサイトでPaypalなどが人気
- さらにPYPLはBNPLという手数料のかからない分割プランを持つ
- ますますPaypalが人気に
- クレカが旅行需要減少で収益性悪化する中、Paypalは人気拡大
というもの
9月9日(木)のマーケット解説
マーケット全体の解説
FRBによるテーパリング前倒し懸念から下落。
寄り付き前に先週の新規失業保険申請数が発表され、予想を下回り、1年半ぶりの低水準となったことで景気回復がすすんでいないのではないか?との懸念がある程度払しょくされたものの、FRBの理事からテーパリングの早期実施を支持するコメントが出たことなどからテーパリングの早期実施懸念が出る。
全体としては債権利回り上昇を受けて金融株が上昇したが、全体的には下落の1日となった。
注目された銘柄:Nike
この日はヨガ用のウェアを販売しているルルレモンが好決算を発表し大きく上昇。スポーツ人気の高まりが意識され、Nikeの株価も上昇した。
NikeといえばコロナでAdidasなどの他のスポーツウェアブランドと違ってコロナを追い風とした部分が多いスポーツブランドだった。
というのも、これまでのスポーツブランドの販売場所はあくまでスポーツ用品店などが中心だったが、Nikeは前からではあるがスポーツ業界の中で得にEC販売に力を入れており、そのトレンドはかなりコロナで加速した。相対的にコロナによって強さが増した銘柄なのである。
現在、世界全体で健康志向の高まりが進んでおり、それに伴ってスポーツブランドが注目されている。今後も健康志向の高まりというのは、コカ・コーラのゼロカロリードリンクの販売など様々な点に大きな影響を与えるトレンドなので注目しておきたい。
9月10日(金)のマーケット解説
マーケット全体の解説
米中関係の改善期待から長期金利が上昇し全体的に下落。
9月第2週(9/7~10)のまとめ
先週の米国株は月曜日はレイバーデイで休場。それ以外の4日はすべて下落し、先々週の金曜日から5日続落となった。要因として意識されているのが2点。
- コロナウイルスの感染拡大による景気鈍化懸念の高まり
- テーパリングの開始時期のズレ予測
この2点が主に市場を動かしている状況が継続している。まずコロナウイルス感染拡大による景気鈍化懸念という点では8日に発表された地区連銀の経済報告(ベージュブック)にて景気の回復が鈍化しているとの示唆があったということ、先々週の金曜日に発表された雇用統計が飲食店での雇用が進んでいないために大幅に予想を下振れたという点が意識されている。
一方で、悪材料が出た際にはテーパリングの後ずれが意識されて一部銘柄が上昇したり、好材料が出た際はテーパリングの早期実施を懸念しての下落が確認されているという状況のため、目下の注目点は引き続きテーパリングであるという状況に変化はないであろう。
翌週のポイント
来週のイベントは
- 14日のCPI
- 14日のアップル製品紹介
- 15日鉱工業生産
- 16日小売売上高、11日の週の新規失業保険申請数
- 17日のミシガン大学消費者信頼感指数
特に注目したいのが14日のCPIでの物価の状況。現在、米国ではかなりインフレ率が高い状態となっている。この高インフレの継続は日用品販売企業などに対して利益率押し下げの要因となっている。
そのような状況のため世界中で日用品メーカーの株価が伸び悩んでいる状況にある。短期的な要因であるためそれら企業の長期的評価に大きな影響はないが、短中期的な株価の変動を見るうえではこのCPIの高い水準が一服していくのかどうかを見てあげたい。
またAppleの新製品発表も株価に大きく影響を与える可能性があるイベントのため注目しておきたい。注目点は予想されている新型製品発表以外の製品が紹介されるのか?新たなプランが出るのかどうなのか?といったところ。
なんにせよサプライズがあるかどうかを確認しておきたい。
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