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【地政学】日本の地勢的なメリット・デメリットと関連銘柄

皆さんこんにちは。クラッドです。

本記事はnoteにて公開しております「【地政学編 日本】世界有数の技術・経済を有する世界第6位の海洋大国!」の1部章に加筆修正を加えた物となります。

そのため、既にnoteを購入して頂いている方には同じ様な内容となります事、ご了承頂ければ幸いです。

【本記事の目的】

  • 有料記事の購入を避けていた方にも少しばかりでもアプローチしたい
  • 我々が住んでいる日本という国家について少しでも知る機会を提供したい

このような思いから公開する事としました。 また、牧野様との共同執筆と言った体を成しており、記述箇所によっては、牧野様に執筆して頂いております。

では、前置きはこれくらいにして、当記事をお楽しみください!

日本の地勢的なデメリット

まずは上記の日本の地形図を見てください。(緑の部分が平野部、茶色が濃くなるにつれ山地)

この地形図からわかると思いますが、日本の国土はほとんどが山地に覆われています。これは日本が環太平洋造山帯に属している影響が顕著に表れたものであり、平野部はほとんどありません。

国土の約73%が山地を占める山国であり、沿岸部には河川の浸食による堆積作用により形成される沖積平野が広がり、この平野部に人口と経済活動の大部分が集中しています。

日本は太平洋ベルトと呼ばれる茨城県から大分県までを結んでいる帯状の工業地帯が広がり、人口の約60%、工業製品出荷額の約70%が集中しています。


これらの工業地帯には、日本の五大都市圏(東京、名古屋、大阪、福岡)のうち、四大都市圏を有しており、日本経済の中心であります。

日本はその地形的な要因(=国土の約73%が山地)から、平野部に人口と経済活動の大部分が集中している事が上記の五大都市圏の位置を見てもらえればより鮮明にわかるかと思います。

日本の国土は山地が多いため、陸上輸送が中心となっており、国土全体に鉄道網の整備、高速道路の建設に膨大なインフラコストをかけて今まで整備してきています。

それらは各地域に分散している都市同士を接続させるため、国土全体での円滑な経済活動・経済発展を促進させるためにも必要なものでした。これらの国土開発は現代日本の繁栄の礎となっています。

しかし、国土開発には大量の資源・労働者・資金を投資する必要がありそれらは膨大なコストとして現れます。さらには維持費も膨大になる事から国家への財政的な負担を継続して生じさせるものとなります。

また、水上輸送と陸上輸送を比較すると、圧倒的に水上輸送の価格競争力が高く、陸上輸送を行う事はそれだけでもコスト増になるため、価格競争力という観点から見ると、利益を上げる事が難しく、資本の蓄積が難しくなります。

そういった面で、日本の国土開発は容易ではなかったことが伺い知れます。

日本の地勢的なメリット

皆さんもご存じの通り、日本は島国であり海洋国家であります。

つまり、国土の周辺を全て【海洋】に囲まれているという事であり、海底にはエネルギー資源・鉱物資源・漁業資源など多数の資源(海洋資源)が存在しています。

今回はそれらの海洋資源に主眼を置きたいと思います。

日本の海洋概要

まずは日本が有している海洋についての簡単は説明です。

※本図は未画定の海域における地理的中間線を含め、便宜上図示しています
※1:「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」第2条第2号に規定する海域の海底及びその下
※2:大陸棚の延長が認められ、関係国と調整を行っている海域
※3:大陸棚について、国連大陸棚限界委員会の審査が先送りされた海域


上記の日本の排他的経済水域(EEZ)を見て頂くとわかるように、日本が有している排他的経済水域は非常に広大な面積となっております。領海と排他的経済水域の合計では、領土面積の約12倍の広さとなります。

さらに、2012年に大陸棚限界委員会(CLCS)より延長大陸棚を認める勧告を受領しており、約31万㎢の大陸棚延長が認可されて、日本の権利が及ぶ領域が拡大しております。

延長大陸棚とは

国連海洋法条約(UNCLOS)の規定に従い、沿岸国が科学的データに基づき、地形的・地質的に陸とつながっている事が証明された際に認可がおりる。認められると沿岸国は200海里を超えて大陸棚を設定する事ができ、大陸棚に埋蔵されている天然資源の開発の主権的権利が認められる。

領海及びEEZ面積世界ランキング

領海・EEZの面積ランキングは下記の通りとなっており、世界でも有数の国土を持つ国家群と遜色ないレベルとなります。

順位国名EEZ面積
1位アメリカ約870万㎢
2ロシア約790万㎢
3オーストラリア約750万㎢
4インドネシア約590万㎢
5カナダ約560万㎢
6日本約447万㎢

日本は領海及びEEZの面積では世界第6位となり、広大な海洋を領有している事がわかります。

また、堆積で見ると15.8百万k㎥を有しており、これは世界第4位です。これは、他の海洋国家群より、より深海に眠る天然資源の開発も可能となります。

日本が有している深海としては日本海溝(最深部は8020m)や、沖縄県東端の琉球(南西諸島)海溝7507mがあります。日本の海全体の6割以上が3000m以深の超深海となり、6000m以深の水域は全体の6%となります。

これらの面積はダントツで世界第1位(2位のロシアの倍以上)となり、日本は大海洋国家と言ってもいいかもしれません。

さて、それでは日本の海洋に埋蔵されているとされる豊富な天然資源について記述します。

日本の主な資源と関連銘柄

日本周辺に存在するとされる海底資源と位置関係については、上記の様になっております。

埋蔵量などはまだまだ未確認の状態のものが多いため、推計であったり、曖昧なものとなるようですが、下記の様になります。

メタンハイドレート

タンハイドレートはメタンCH₄(天然ガスの主成分)と水分子の氷状の固体結晶であり、メタンは天然ガスの主成分であり、有用なエネルギー資源となります。

予想埋蔵量として、日本近海全体では7兆3500億立方m³であり、排他的経済水域全域内では12兆6000億立方m³とされています。

これらの埋蔵量は日本の天然ガスの年間消費量の100年分以上とも言われているのです。(参考:2017年の日本における天然ガスの年間消費量は約1000億m³)

仮に、メタンハイドレートの商業化が進めば、日本は自国産のエネルギー資源を有する事となり、有事の際に国家の安全保障を担保する大きな武器となるでしょう。

銘柄事業内容
三井海洋開発
(6269)
浮体式石油・ガス生産貯蔵設備の世界大手。
日揮HD
(1963)
世界各地で石油、化学、発電、LNG関連プラント建設。

石油・天然ガス

日本は石油と天然ガスの大部分を中東産油国やその他の資源国からの輸入に依存している事は皆さんもご存知でしょう。

原油の輸入依存度は99.7%(2017年)、液化天然ガス(LNG)97.6%(2018年)となっており、化石燃料はほぼ100%輸入に依存。

輸入に頼るという事はエネルギーの安全保障上の観点から,非常に脆弱であり有事の際には国家存立の危機となります。

それらが日本の排他的経済水域内で生産が可能となれば、資源国との価格交渉においても強い立場となりますし、何より他国の政情などに一切影響されなくなるため、エネルギーの安全保障上の問題は解決すると言えるでしょう。(もちろん完全自給の場合ではありますが)

日本の排他的経済水域内の化石燃料の埋蔵について記述します。韓国の済州島の南から九州の西側を通り、沖縄トラフの手前まで続く海底にある膨大な資源の眠るエリアを【第七鉱区】と呼びます。

この第七鉱区には膨大な量の天然ガスと原油が埋蔵されているとされています。天然ガスの埋蔵量は175兆~210兆立法フィートであり、原油の埋蔵量は1000億バレルとされています。

原油の埋蔵量はサウジアラビアの10倍の規模とされており、資源価値は約600兆円という超巨大な油田地帯とされています。現在は韓国との共同開発という事となっていますが、2028年には日本単独で開発が可能となり、日本が一気に世界有数の産油国にもなれるかもしれません。

もちろん、陸上油田とは違い海底油田であるため、開発コストには高くなるでしょうが、自国海域内で算出する事のメリットは計り知れません。

その他、新潟・佐渡・尖閣諸島・茨城県沖にも油田・天然ガスが埋蔵されているされており、日本の排他的経済水域内にはまだまだ未開発の化石燃料が眠っている様です。

銘柄事業内容
INPEX
(1605)
資源開発最大手。原油・ガス開発生産。政府が黄金株保有。海外に強み。
ENEOS
(5020)
石油元売り最大手。東燃ゼネラルと統合。金属、石油・天然ガス開発にも強み。
三井物産
(8031)
総合商社の名門。鉄鉱石、原油の生産権益量、インフラで強力。海外も収益源。

海底熱水鉱床

海底熱水鉱床は銅、鉛、亜鉛、金、銀などの有用な金属資源を有したものです。現在の推定されている資源規模としては、80兆円ほどの価値とされております。

近年の探査結果で奄美諸島沖、沖縄近海(740万トン)、伊豆諸島沖(10万トン)にあるとされています。

銘柄事業内容
日本製鉄
(5401)
粗鋼生産世界大手・国内首位。高級鋼板に強み。韓国ポスコ、神鋼と提携。
JFE
(5411)
川崎製鉄とNKKが統合。粗鋼生産国内シェア高。商社、エンジニアリング事業も。

コバルトリッチクラスト

コバルトリッチクラストは、チタン、銅、マンガン、プラチナ(白金)、コバルト、ニッケルなどの有用な金属資源を有したものです。

2027年の商業化を目指すとされており、南鳥島付近だけで24億トン(約100兆円規模)の資源規模が存在するとされており、特に、国内消費量で約88年分のコバルトや約12年分のニッケルが存在すると推定されています。

2020年7月に掘削試験が世界初の成功をおさめ、日本がレアメタル生産国となる期待が大きく高まりました。

銘柄事業内容
三井金属
(5706)
非鉄大手。銅箔で世界首位級。半導体材料にも強み。
アルコニックス
(3036)
非鉄金属の商社。双日から分離。アルミ銅、レアメタルに強み。
DOWA
(5714)
磁性鉄粉で首位級。製錬、環境リサイクル、金属加工が柱。

マンガン団塊

マンガン団塊は、マンガン、銅、ニッケル、コバルトなどの有用な金属資源を有したものです。

南鳥島周辺に高密度に存在しているとされ、その面積は九州と四国を合わせた面積に相当するとされています。

今後需要の急増が予想されているコバルトも多く含有しているとされ、2017年の日本の需要の300年分という膨大な量が埋蔵されているとされています。

銘柄事業内容
田中化学研究所
(4080)
住友化学系。ニッケル、リチウムイオン電池の正極材料が主力。
住友金属鉱山
(5713)
非鉄金属と電子材料が両輪。ニッケルにも強み。

レアアース泥

レアアース泥は2011年に新たに発見された海底鉱物資源です。

南鳥島付近に非常に高濃度のレアアース泥が発見されており、陸上鉱山と比べて2~5倍のレアアース濃度の泥が10~70mの厚さで分布しているとされています。

レアアース泥は陸上鉱山と比較しても抽出が非常に容易であり、放射性元素の処理も不要である事から、既存のレアアース産地の優位性を根本から覆すだけの大きな可能性を有しています。

特に、有望海域とされる315㎢だけで、国内のレアアース需要の200~3000年分の資源量が確認されており、スカンジウム(固体酸化物形燃料電池の電解質材料、アルミニウムとの軽量高強度合金が用途)の資源量は、現在の世界供給量の1万年分に達するされています。

5000mを超える海底にある泥を採取する必要があり、技術開発が進められていますが、仮に商業科した場合、日本は世界有数の資源大国へと変貌を遂げる事となるでしょう。

銘柄事業内容
石油資源開発
(1662)
資源開発大手。原油・天然ガスの探鉱、開発、生産。
鉱研工業
(6297)
地下資源工事用掘削機械大手。温泉開発に強み。

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クラッド

クラッド

地政学の執筆家

転職を繰り返し5社目で期間工の仕事に落ち着く。期間工をしながら生活費を抑制し、余力資金を全力で投資に振り向ける。/ 独学で【クラッドの地政学シリーズ】として、世界の国々について地政学的な視点を織り交ぜつつ執筆活動を行う。/ よろしくお願いしますm(__)m/ フォロワー3,300人(2021年11月時点)

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