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【債券投資】テーパリングで米国債利回りは上昇していくか

テーパリングという言葉が一般的に浸透するようになり、“テーパリング=債券利回り上昇”と捉える方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

テーパリングとは

量的緩和策による資産買い入れ額を徐々に減らしていくこと。中央銀行(米国ならFRB)が超金融緩和状態から抜け出す過程で採用する出口戦略の一つ。

米国債務上限問題と相まって、米国債価格の暴落(利回り急上昇)の懸念をする方もいらっしゃるかもしれません。そんな思惑を債券マーケットは如何に反映させているか。

FOMCを終えた今月の債券マーケットを一緒に読み解いて参りましょう。

10月の海外投資家の米国債保有状況

そもそもの債券市場の特徴

一般的に、債券市場を動かしているのは、政府系の投資資金です。

他のマーケットに入る資金よりも機敏に動き様々な要因を反映し、かつ一番将来を見て動くと言われています。

つまり、株式市場や為替市場を確認するよりも、債券市場の方が全体のマーケット心理を素早くかつ長期的な視点で反映させているのです。

米国債保有状況

米国財務省によると、海外投資家の米国債保有状況は2021年過去最高を記録しました。

つまり、海外からも米国債需要が強く、債券価格は高止まり(利回りは低く固定)しているということです。

下記は米国債保有の主要5か国の保有額1年の推移になります。ポジションを減らしていた中国も10月はプラスに反転し、米国債需要の強さを表しています

イールドカーブで見る先行き不安

ところで、米国債にはどのような需要があるのでしょうか。過去最高の海外投資家保有額となった10月からの変化をみていきましょう。

下記の図は、10月末日のイールドカーブと12月17日のイールドカーブとの比較です。

イールドカーブとは?

債券の最終利回りと残存期間に対応する点をつないだ線。縦軸に最終利回り、横軸に債券の残存期間を取る。

一見してわかるように、先週(オレンジ色の線)は10月(青色の線)から比較して、6か月から5年債までの利回りは上昇、つまり短期は売り放され、5年債から30年債の長期需要が高まりました。

イールドカーブの形状としては、ツイストフラットニング現象が起こっていると言えます。

ツイストフラットニングとは?

フラットニングとは、短期金利と長期金利の差が小さくなり、イールドカーブの傾きが緩やかになって平たん化することです。

中でもツイストフラットニングは、短期金利が上昇する一方で長期金利が低下し、イールドカーブがねじれる(ツイスト)形で長短金利差が縮小することを指します。

つまり、マーケットは6か月から5年までの間に利上げを見込んでいるが、先行きの経済に関しては懐疑的であり、長期的に金利が上昇していくような局面は現状では見込んでいないことが伺えます。

Bloombergによると、次のように分析されています。

金融当局が現在予想されているように2022年半ばに利上げを始めた場合、米国債利回り曲線は引き締めサイクル開始時として、過去数十年で最もフラット(平たん)な形状になりそうだ。米2年債と10年債のスプレッド(利回り格差)が現在約83ベーシスポイント(bp, 1bp=0.01%)であるのに対し、先物市場は来年6月には55bpになる見通しを織り込んでいる。

引用元:Bloomberg

下記はBloombergの上記記事に記載されている10年債から2年債の利回りを引いた長短金利差(スプレッド)のグラフです。

出所:Bloomberg

80年代からのスプレッドのサイクルとしては依然低位で推移しており、今後もイールドカーブの形状はフラットがトレンドと言えるでしょう。

超長期債のイールドの逆転現象

利回りの逆転、いわゆる逆イールドは景気後退懸念が市場にある時に一般的に見られる事象です。

上記の筆者作成のイールドカーブの10月と12月の比較のグラフを見ていただくとお分かりのように、20年債と30年債の利回りの逆転現象がすでに2021年10月より起こっているのです。

これは、政府が2020年5月に20年債の発行を再開して以降で初めての事象ですが、この件についてはまた次回以降の記事にてご説明させていただこうと思います。ふふ。お楽しみに。

まとめ

【この記事のまとめ】

  • 米国債需要は外国投資家からも依然高く安定的
  • 長期金利は先行き不透明から低下傾向にある
  • 超長期金利は逆イールド現象が起こっており長期の大きな経済成長を見込めない

お読みいただきありがとうございました♡

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フクロウさん

フクロウさん

元証券会社債券分析&債券セールス

元証券会社債券分析&債券セールス。イールドカーブの動きと市場相関について主にお話します | フォロワー13,000人(2022/1)

  1. Sell in May and Go Away. – 5月FOMC後の売り発動

  2. Listening to the yield curve – FOMC議事録公開後のイールドカーブを見てみよう

  3. FOMC議事録バランスシート縮小案を徹底分解

コメント

  1. 2021.12.23

    […] 【債券投資】テーパリングで米国債利回りは上昇していくか […]

  2. 2021.12.26

    […] 出所:MARKET PASS […]

  3. 2021.12.26

    […] 【債券投資】テーパリングで米国債利回りは上昇していくか […]

  4. 2022.01.03

    […] 【債券投資】テーパリングで米国債利回りは上昇していくか […]

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