新年あけましておめでとうございます。
2022年、皆様の益々のご活躍と資産運用に精を出されることをお祈りしおります。
少しでも皆様のご参考になればと、2021年の債券マーケットを1つの表にまとめてみました。少しごっちゃりとしておりますが何かの気づきになれば幸いです。
というのは、マーケットはいつも同じ反応を繰り返すわけではありませんが、マーケットに長くいる人間としては、以前起こった事象を元に今後の手がかりを描くことが多いです。
「債券がこういう反応をしたら〇〇に影響する」ということもよく判断材料にされます。
前置きが長くなりましたが昨年の債券市場を見ておきましょう。
2021年は10年債利回りの急上昇から始まり、
- 追加緩和期待
- 米国債務上限問題
- インフレ懸念からの利上げ観測
- 恒大集団デフォルト懸念
- 新型ウィルス感染
- テーパリング開始時期
- BS縮小に伴う量的金融引締め(QT)懸念、からの再度量的緩和(QE)期待
など、様々な話題で債券市場が注目されました。
恒大集団デフォルト懸念、テーパリング、QTとは?
恒大集団デフォルト懸念とは、中国の不動産開発大手の中国恒大集団社の資金繰りが悪化し、デフォルトが懸念された問題。関連会社や中国不動産市場に大きな影響を与える出来事となった。
テーパリングとは、量的緩和策による資産買い入れ額を徐々に減らしていくこと。中央銀行(米国ならFRB)が超金融緩和状態から抜け出す過程で採用する出口戦略の一つ。
QTとは、Quantitative Tighteningの略であり、日本語で量的引き締めを意味する。FRBなどの中央銀行が市場から買い入れた金融資産(主に国債)のうち満期が到来した分を、再投資せず償還させることで、中央銀行のバランスシート(BS)を段階的に圧縮すること。市場の資金量が中央銀行から吸収されるという意味で、引き締めと表現されている。
簡単に下記図にまとめておりますのでご参考にどうぞ。
2021年のイールドカーブの変化
なぜこのような動きになったかは下記のイベント図を参考にどうぞ。
2021年主要指数と主な出来事
筆者は2021年の債券市場は3つのタームに分けられると考えています。
スティープ化(2021年2月半ばまで)
超長期30年債から5年債を引いたスプレッド、つまり傾斜が開いていった時期がこれにあたります。
スティープ化とは?
短期金利と長期金利の差が大きくなること。
ここでは、今後の経済回復と市中の金余りが相まって小型グロース株が特に躍進しました。
フラット化(2021年2月半ば~2021年12月)
3月スティープ化のピークにあった30年債利回りは2.45でしたが、12月の3日には1.69と76bp下落しました。
5年債は年初1月4日には0.36でしたが、11月24日には年初来最高利回りの1.34になり、なんと98bpも上昇したのです。
つまり、5年債利回りは上昇、30年債利回りは下落で、フラット化でもツイストフラットニング現象が顕著に見られました。(ツイストフラットニングについでは最初の記事をご参照ください)
膠着状態(2021年12月~)
9カ月に渡るツイストフラットニング状態の様相が変わってきたのは、昨年度の12月に入ってからです。
テーパリングを完全に織り込んだタイミングで、今後将来的にBS縮小に伴う量的引締めを視野に入れているのか、あるいは追加緩和もあるのではという観測が出始めたことと、マーケット参加者が少なくなるタイミングが重なり様子見状態というところでしょうか。
今後はこの長短のスプレッドがどのように変化していくかを見極めていく展開になると筆者は考えています。
最後に
年始からお付き合いいただきありがとうございました。どうか皆様にとって実りのある1年になりますように。今年もよろしくお願いいたします。
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