皆様の待ちに待ったFOMCが終わりました。
マーケットは上昇に転じ、安心した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、FOMCについてまとめております。
見どころとしては(読みどころでしょうか)、FOMCで発表された、押さえておくべき内容と、そのポイントの解説を一目で確認できるようにしてみました。
また、FOMC前後でイールドカーブの形状はどのように変化し、今後はどこを注意して見ていくのかを記載しています。皆様の気づきにつながると嬉しいです。
では、さっそくFOMCの声明の概要から確認していきましょう。

FOMC声明の概要
では、ここでFOMCの声明の概要に関して、新たに追加されたものについて焦点を当てて見ていきましょう。
金融政策の方針
【金融政策の方針】
委員会は今後の会合で、財務省証券、エージェンシー債、エージェンシーの住宅ローン担保証券の保有の削減を開始する見込みである(今回追加)
こちらはFedのバランスシート縮小、つまりQTについてです。具体的な時期やペースについては今回言及されませんでした。具体的な話が出てくるのは4月となり、それまでのマーケットの不確実性要因として残ってしまったわけです。
景気判断
【景気判断】
- 雇用はこの数ヵ月力強く伸びており、失業率は大幅に低下した(雇用について前回の「堅調に”solid”から「力強く」”strong”に上方修正)
- パンデミックに関連する需給不均衡、エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映してインフレは高止まりしている(今回追加)
再度思い出してみましょう。FRBの最大の目標は物価の安定と雇用の最大化です。従って、雇用の最大化についてはCOVID-19のパンデミックの状態からクリアしたという認識でいいでしょう。
今後は雇用については継続的安定を目指していく形になります。しかしインフレは「一時的」という以前の認識には面影もなく、継続的にあり断固としてインフレを抑えたい意向がタカ派な姿勢につながっています。
一方、利上げを余儀なくすると、雇用の安定に影を落とすことになりかねないため、FRBは非常に難しい舵取りを任されている状態だと言えるでしょう。
景気見通し
【景気見通し】
- ロシアによるウクライナ侵攻は、多大な人的および経済的困窮を引き起こしている(今回追加)
- 米国経済への影響は非常に不透明だが、侵略とそれに関連する出来事は、短期的にはインフレに対する追加的な上昇圧力を生み出し、経済活動に重石をかける可能性が高い(今回追加)
ロシアによるウクライナ侵攻は欧州経済への打撃が大きいと言われていましたが、長期化するにつれ米国経済の後退も視野に入ってきています。
原油価格の高止まりが更なるインフレ圧力となり、米国経済を圧迫していくと考えられています。
FOMC参加者の経済見通し
FOMC参加者の経済見通しについても確認してみましょう。
ウクライナ侵攻に伴う物価高の影響などを反映し、2022年に関して実質GDPの成長率が前回の4.0%から2.8%へ下方修正されました。コアPCE価格指数が前回の2.7%から4.1%へ大幅に上方修正されたことも、タカな姿勢だったと判断される要因となったようです。
では昨年12月のFOMCのドット・チャート(上)と、今回のもの(下)を見比べていきましょう。


政策金利の見通し(中央値)は、2022年が1.875%(前回:0.875%)と前回から1.0%ポイント大幅に上方修正されました。1回の利上げ幅をと25bpと仮定すると、今回の利上げを含めて2022年の利上げ回数は7回に上ることになります。前回までは3回という想定だったので、大幅な上方修正と言えるでしょう。
ちなみにこれは、2022年の残り全てのFOMCにおいて利上げを行うことを意味します。どこかのタイミングで50bpの利上げの可能性も含んでいるので、50bp利上げの話が出る際にはマーケットは荒れることが予想されます。
2023年は2.75%(前回:1.625%)と3回~4回の利上げが見込まれるほかに、ロンガーランという長期の見通しを上回る水準に引き上げることが示されました。しかし一方では、2024年は利上げを行わず据え置き予想で、長期見通しに関しては逆に2.375%(前回:2.5%)と下方修正されました。
つまり、このままいくと利上げのピークは2023年となり、長期的には利下げに転じる可能性もあることが伺えます。これはいわゆる長期的には米国の経済成長にFOMC参加者が懐疑的であることが伺えるのではないでしょうか。
今回のFOMCの主な内容を簡単に表にまとめると以下のようになります。項目と結果の横に読み解くポイントを記載してみましたので参考にしていただけたら幸いです。
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