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Sell in May and Go Away. – 5月FOMC後の売り発動

“Sell in May and go away.”

「5月に売り抜けろ」という投資の格言です。

夏の株式相場は盛り上がらず、株価が上昇しないため、5月には株を手放し9月の中旬以降に株を再開するのがいいという、所謂アノマリーというものです。

下記の過去30年間のNYダウ月別パフォーマンス平均を見ると、4月が一番パフォーマンスが高く(ここが本来の売り抜けポイント)5月にはパフォーマンスが下がり、6月平均はマイナスパフォーマンスに転じています。

筆者はアノマリーも一つの参考材料としていますが、市場が何に対してその下落の反応を見せたのかということについて経験を蓄積することを重視しています。

今回5月3-4日にFOMCが開催されましたが、FOMC通過後から株価は下落基調にあります。インパクトを与えた内容について今回は見ていきたいと思います。

まずは、FOMCの内容(Press Releaseの原文)を翻訳しました。

読んでみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一緒に見ていきたいと思います。

5月のFOMCの内容

原文:Implementation Note issued May 4, 2022

(以下翻訳)

連邦準備制度理事会は、2022年5月4日に連邦公開市場委員会が声明で発表した金融政策スタンスを実施するために、以下の決定を行いました。

  • 連邦準備制度理事会は、2022年5月5日から支払準備金残高に対する支払金利を0.9%に引き上げることを全会一致で決定しました。
  • その政策決定の一環として、連邦公開市場委員会は、別途指示があるまで、ニューヨーク連邦準備銀行のオープンマーケットデスクに対し、以下の国内政策指令に従ってシステム公開市場口座の取引を執行することを承認し指示することを議決しました。

2022年5月5日から、連邦公開市場委員会はデスクに次のことを指示する:

  • 連邦資金金利を3/4~1%の目標範囲に維持するために必要な公開市場操作を実施すること。
  • 最低入札金利1.0%、運用限度額5,000億ドルのオーバーナイトレポ契約を実施。
  • オーバーナイトのリバース・レポ取引で、オファリング・レートを0.8%、1日当たりの取引先ごとの限度額を1600億ドルとする(取引先ごとの限度額は議長の裁量で一時的に引き上げることができる)。
  • 6月に満期を迎える連邦準備制度理事会の保有する財務省証券の元本支払い額のうち、月間300億ドルの上限を超える額を競売でロールオーバーする。この月間上限額までの財務省クーポン証券と、クーポンの元本支払いが月間上限額を下回る範囲での財務省短期証券の償還を行う。
  • 連邦準備制度理事会が保有する機関債および機関MBSからの元本支払いが、6月の暦月で175億ドルの月間上限を超える額を、機関MBSに再投資する。
  • 運用上の理由で必要であれば、再投資のために記載された金額からの小幅な乖離を許容する。
  • 連邦準備銀行の機関投資家向けMBS取引の決済を容易にするため、必要に応じてドルロール取引やクーポンスワップ取引を行う。

関連する行動として、連邦準備制度理事会は、2022年5月5日から、一次信用金利を1/2%ポイント引き上げ、1%にすることを全会一致で承認した。この決定にあたり、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコの連邦準備銀行理事会から提出された同レート設定の要請を承認しました。

(以上翻訳)

では次に、上記にも記載はありますが、特別にページが用意されているFedのバランスシート縮小案についての翻訳を確認してみましょう。

本文:Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve’s Balance Sheet

(以下翻訳)

Fedのバランスシート縮小計画

2022年1月に発表された「連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小するための原則」に沿って、委員会の全参加者は、連邦準備制度の証券保有高を大幅に削減するための以下の計画に合意した。

委員会は、主にシステム公開市場口座(SOMA:System Open Market Account )で保有する証券から受け取る元本の再投資額を調整することで、予測可能な方法で連邦準備銀行の証券保有高を長期的に削減する意向である。6月1日を開始日として、SOMAに保管されている有価証券の償還金は、毎月の上限を超えた分は再投資されることになります。

  • 財務省証券については、当初は月300億ドルに上限が設定され、3ヵ月後には月600億ドルに上限が引き上げられます。この月間上限額の下での財務省証券保有額の減少には、償還が月間上限額を下回る財務省発行の利付国債と、財務省短期証券が含まれます。
  • 政府機関債および政府機関モーゲージ担保証券(MBS)については,当初は月175億ドルに上限が設定され,3ヵ月後には月350億ドルに引き上げられる予定です。

長期的には、委員会は潤沢な準備金体制の中で、金融政策を効率的かつ効果的に実施するために必要な額の証券保有を維持する意向です。

  • 円滑な移行を確実にするため、委員会は、準備金残高が潤沢であると判断した水準をいくらか上回った時点で(つまりは不足するだろうと判断した時点で)、バランスシートの規模の縮小を遅らせ、その後停止する意向である。
  • バランスシートの縮小が止まると、準備金残高は、他の連邦準備銀行の負債の増加を反映して、委員会が準備金残高が十分な水準に達したと判断するまで、しばらく減少し続ける可能性がある。
  • その後、委員会は、長期にわたって十分な準備金を維持するために、必要に応じて保有証券を管理する。

当委員会は、経済・金融情勢を踏まえ、バランスシートの規模を縮小するためのアプローチの詳細を調整する準備をしています。

(以上翻訳)

今回のFOMCは、ネガティブサプライズなく市場とコンセンサスを取りつつ終えた印象です。

宣言通り50bpの利上げと、BS縮小案に関しては3カ月間は償還上限を低めに設定して試験的に資産縮小を行い、様子を見つつ9月から本格的に資産を減らしていくことになります。

ではFOMC前後で市場はどのように反応したでしょうか。次項で詳細を確認していきましょう。

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フクロウさん

フクロウさん

元証券会社債券分析&債券セールス

元証券会社債券分析&債券セールス。イールドカーブの動きと市場相関について主にお話します | フォロワー13,000人(2022/1)

  1. Sell in May and Go Away. – 5月FOMC後の売り発動

  2. Listening to the yield curve – FOMC議事録公開後のイールドカーブを見てみよう

  3. FOMC議事録バランスシート縮小案を徹底分解

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