目論見書を読もう
投資信託を購入するときに交付される、交付目論見書(以下:目論見書)は、「購入しようとしている投資信託ついて投資判断に必要な重要事項を説明をした書類」(投資信託協会より)のことで、いわば家電などの取扱説明書のようなものです。
当該投資信託の運用対象やリスク、費用などが掲載されていて、必ず読んでから購入しなければならないものです。
とはいえ、隅々まで読むことは時間的制約もあってなかなか難しいかもしれません。
そのような方にぜひ読んでいただきたいのがこの記事です。
実は、よく読まずに購入すると「イタタ」と思うことになりかねないのです。
いつまでも運用してくれるとは限らない
投資は長期の目線でとよく言われます。
定期的に結果を求められる機関投資家とは違い、個人投資家は時間を味方にできるアドバンテージがありますね。
投資に向けた資金を使う日までほおっておけます。しかし投資信託はほおっておけないものがあります。

ある投資信託の目論見書に掲載されている「信託期間」です。
信託期間とは?
投資信託が運用される時間軸 。
「無期限」なものも多いが、図のように設定からX年などと最初から謳っているものは少なくない。
つまり、すべての投資信託がいつまでも運用してくれるわけではないのです。
この商品の場合、信託期間の延長の可能性もありますが、現時点では2026年3月に運用を終了されることを想定してから買うかどうかを決めるべきでしょう。
想定より早く運用を終了される?
償還について
「償還」という言葉をご存知でしょうか?実はこの言葉も目論見書に掲載されています。
「信託期間」で示した図と同じ商品の目論見書に以下のような記載があります。

「償還」とは、当該投資信託の運用を取りやめて、投資家に資金を返却することです。
あらかじめ決められた信託期間を経過後、運用を終了すると「償還」が起きます。
繰上償還について
さらに「繰上償還」という言葉もあることがわかります。
これは、予定よりも早く運用をやめて投資家に資金を返却する可能性について言及したものです。
例えばこの商品の場合、「受益権の口数が30億口を下回ることとなった場合」という条件が付与されています。
あまりにも規模が小さい状況が続くようであれば、運用を続けない方が投資家のためだと判断して「繰上償還」を行うとあらかじめアナウンスしているわけです。
この「繰上償還」の条件は投資信託によって異なりますので、今一度自分が保有する商品について条件を確認していただきたいです。
実は筆者は「償還」を経験しています。
何年も前ですが円建てのMMFを持っていました。が、低金利が続き運用難になったことで、MMFの運用会社が償還を決めたのです。
こればかりは抗いようがありませんので、償還金をいただきました。MMFでしたので、元本が割れるということが無かったのは幸いでした。
償還乗換優遇制度について
「償還」は投資家には不利ですので、救済措置ともいえる制度があります。
「償還乗換優遇制度」と呼ばれ、償還された投資信託の償還金額の範囲内で、償還から一定期間内に同じ(販売会社)で新たに投資信託の買付を行った際に、申込手数料を無料もしくは割引とする優遇制度です。
とはいえ、近年は販売手数料が無料の商品も多いので、あまりメリットはないかもしれません。
つまり償還されないような商品を選んでおくのが投資家としてはクレバーだということです。
純資産を見よう
償還されない投資信託はどのようなものなのか。
償還の条件が様々ですので一概に言えませんが、一つ共通点があるとすると、純資産が少ない投資信託は償還されやすくなります。
それなりの資金規模が無いと、投資信託の運用目的に沿った運用ができなくなり、投資家に不利な状況になりがちだからです。
ですので、すでに設定済の投資信託については、現時点の純資産額をぜひ確認していただきたいです。 販売会社でも運用会社でもwebsiteで簡単に確認できます

規模がどれぐらいならいいのか?という質問が出そうです。
答えは難しいですが、筆者個人としては100億円以上を一応目安にしています。
といっても、投資信託を新たに買うことは近年ほとんどないのですけれども。
なお、改めて目論見書の読み方を確認したいという方に一つご案内します。
投資信託協会では、「なるほど!投資信託説明書ガイド」なる冊子を発行していて、個人でも無料で1部送付してくださるそうなので、読み方がよくわからない方は取り寄せて読んでみてはいかがでしょうか?
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