ドル円がなぜ、『今後も右肩上がり(円安)に上昇する』と考察するのか。
その考えは、債券市場の動きに変化があった事から始まりました。
債券に関する情報はこちらから抜粋しております。
なぜ債券市場から注目するのか?
そもそも一般的に債券市場を動かしているのは政府系の投資資金の持ち主、いわゆる機関投資家(銀行、保険会社、国や地方自治体など)です。
他のマーケットと違い、債券市場の値動きは様々な要因を反映しやすい事から機敏に動くため、債券は一番将来を見て動く金融商品と言われています。
つまり、株式市場や為替市場を確認するよりも、債券市場の方が全体のマーケット心理を素早くかつ長期的な視点で確認する事ができるのです。

米国財務省によると、海外投資家の米国債保有状況は2021年過去最高を記録しました。(上図:米国債保有の主要5か国の保有額1年の推移)
これはつまり、海外からも米国債需要が強く、債券価格は高止まり(債券利回りは比較的今後も低く設定される)している事を表します。
簡単に言うと、万一の時に備えたリスクオフが続いていると言う事です。
リスクオフとは?
投資先をリスクの高い金融商品から、リスクの低い金融商品(安全資産)に移す動きのこと。
先進国債券は、安全資産の代表格である(為替リスクの解釈によって安全資産かどうかの判断は異なる)
「そんなの前から言われてる事だし、知ってるよ!」
と思われる人もいますが、話はここで終わりません。さらに深掘りしていきましょう。
債券の購入がドル円の大きな道筋を示す
債券市場では、何の債券が買われているのでしょうか?
- 短期債?
- 中期債?
- 長期債?
- それとも超長期債?

過去最高の海外投資家保有額となった10月からの変化を見てみましょう。(縦軸:最終利回り 横軸:債券残存期間)
これを見ると、短期債がは売り放され、長期需要が高まり始めたことが分かりますね。
全体の債券市場が大きく買われている背景を見ると、長期債は大きく買われた事が分かります。
この動きは言うなれば、
マーケットは6か月から5年までの間は利上げを見込んでいるが、その後の先行き経済に関してはまだ疑問が多い。
債券市場はこのように考えているのではないかと予想しました。
特に米国10年債利回りの動きは、ドル円と逆の動きとする傾向にあるので、現状をざっくり予想すると、ドル円は今後6ヶ月から5年までの間は比較的緩やかに円安方向または大きなボックス相場を形成しながら進んでいくのではないかと予想します。
(緊急で金融ショックや地政学リスクが高まった場合の大きな調整があれば話は別です。あくまでも金融市場に大きな問題が何事もない事が前提の話です。)


図からも分かる通り、米国10年債の利回りが下がる(米国10年債の需要が上がる)とドル円は全体的に円安に進み、米国10年債の利回りが上がる(米国10年債の需要が下がる)と全体的に円高に進んでますよね!
繰り返しになりますが、今後6ヶ月から5年の間は、ドル円は円安方向に動いていくのではないでしょうか。では直近ではどんな動き方をするでしょうか?
ファンダメンタルとテクニカルの両方から考察していきましょう!
直近のドル円予想

米FOMC後のドル円は一時的に高値圏まで急伸するも、週末にかけて反落する動きが目立ちます。
とは言っても、テクニカル的にダウンサイドを見れば、そこには強力なサポートラインが意識されています。(112円台半ば辺り。11/30安値112.53および12/3安値112.56と直近で二度止められたサポート)
- 全体的にドル円は上昇トレンドの渦中にあり、テーパリングのラップや利上げ時期の切り上げ
- 新型コロナウイルスの感染脅威、世界的なインフレリスクは既に市場に折込済み
- 年末にかけて株価が上昇するクリスマスラリーへの期待感
- 日米金融政策の方向性の違い(予想以上にタカ派的な米FOMCに対して、金融緩和政策の継続姿勢を示した日本銀行の動き)
以上を考慮すると、今後は、余程強いドル売り・円買いを行う為の材料が出てこない限り、続落する可能性は乏しいのではないかと個人的に思います。
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