今押さえるべきポイント
【ポイント】
- ドル円、東京時間の午前中に121.32円まで急落。ロンドン、NYで121円台後半へ反発。
- 米金利は低下。ウクライナ情勢への楽観と欧州経済への悲観後退が視感されている。
- 日米金融政策の方向性の違いに変化無し。本邦貿易赤字拡大懸念等の上昇材料多い。
- ドル円の上昇をメインシナリオとする考えは変わらない。
3/30のドル円相場のポイント

30日(水)のドル円相場は東京時間の午前中に乱高下しました。
- 5•10日であり、本邦仲値に係るドル不足が思惑された要因でドル買い・円売り。
- 日銀による長期国債買入れに係るオファー日程の追加とオファー金額の増額発表。
これに加え日米金融政策の方向性の違いがドル円高を支援しており、東京時間が開く手前までドル円は上昇を続け、この日の高値123.19円を記録しました。
しかし東京時間が開くと、買い伸び悩む展開へと変貌。東京時間の正午にかけて安値121.32円まで急落しました。
その要因は、以下4点と推測します。
【ドル円安に転じた理由】
- 上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(利食い売り)
- 政府の当局者による円安牽制発言が再度行われるのではないかという思惑。
- 日経平均株価の下げ幅が拡大(リスク回避の円買い)
- ユーロ経路からのドル売り。
売りが一巡すると3/25の安値121.18円が買い支えとなり、再びドル円は上昇を始めます。
- 円金利低下に伴う円売り圧力
- エネルギー価格反発に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念
- 3月のADP雇用統計の良結果
これらが下値を抑え、支援材料となり円売りの材料となったと考えます。
その後のロンドン時間、NY時間は、ドル円に大きな動きは無かったものの、欧州のスタグフレーション懸念が少し弱まった事でドルからユーロへの移動が見られました。内容は以下4点。
【ユーロドル高の理由】
- 米金利低下に伴うドル売り圧力
- ロシア・ウクライナを巡る停戦期待(トルコで開催された停戦協議は一定の進展がありました)
- 欧州経済指標が良好(ユーロ圏3月経済信頼感指数、同サービス業信頼感指数、同鉱工業信頼感指数など)なことから、ラガルド総裁は「ユーロ圏ではスタグフレーションの証拠は見受けられない」発言。欧州経済の過度な悲観論は後退している様子。
- 欧州当局者のタカ派発言が目立つ。エストニア中銀のミュラー総裁とスロバキア中銀のカジミール総裁がタカ派発言を行った様子。「年後半にかけての利上げを観測するとの事。」これにより欧州債利回りは上昇しユーロ買いが優勢。(ドルからユーロへの移動が目立つ。)
以上の事からドル円は1日を通し、東京時間の午後で大きく急落したものの、下値支えは強く、再び上昇を開始しました。
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