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米国株

【米国株分析】Appleのビジネスモデルとスマホ業界について

Appleの会社概要

会社名Apple inc
Apple Japan合同会社(日本法人)
設立年月日1976年4月1日
業種IT・通信
従業員数154,000人

アップルは1976年にスティーブジョブスらによって設立されたデジタル製品開発・製造企業。

2021年12月現在、時価総額は2.8兆ドルで時価総額世界一の企業となっている。

順位会社名時価総額
1位アップル2,892,119,663千ドル
2位マイクロソフト2,512,845,975千ドル
3位アマゾン・ドット・コム1,735,139,653千ドル
4位テスラ1,071,550,597千ドル
5位アルファベット935,054,620千ドル
出所:Yahoo!ファイナンス(2021年12月24日時点)

創業当初は現在の最大の主力商品であるスマートフォン関係ではなく、PCメーカーとして設立された。

世界的にヒットし成功をおさめたが、成長は持続せず、しりすぼみになっていった。

創業者の1人にもかかわらず、一時期アップル社を追い出されていたスティーブジョブズが復帰して以降は、今日までヒットを続ける画期的商品のiPhoneなどを発売し、急激に回復した。

アップルの売上は米国を中心に世界中に分散されており、世界中でiPhoneなどのApple製品の人気は高い。

特に売れているのがiPhoneで、現在こそ売り上げに占める割合は下落してきてはいるものの、それでも売上全体の半分以上はiPhoneの売上によるものである。

Appleのビジネスモデル

スイッチングコスト戦略

iPhoneやMacなどの高価格ではあるが高機能・高デザイン性を保有する製品を販売し、いわゆる『Appleファン』を獲得していく。

そして、iPhoneを中心としたApple製品同士の高い連携性を武器に顧客を囲い込み、スイッチングコストを高くする戦略を実施。

スイッチングコストとは?

継続して利用している製品やサービスから、類似する製品やサービスに乗り換える(switch)際に発生するコストのこと。

乗り換えにかかる費用や手間などが該当する。

本来的にはスマホのスイッチングコストは高くないのだが、Apple社の場合は、iPhone、Mac、Airpods、iPadという風にApple製品をそろえることで、クラウドサービスなどを介し、接続性を大きく高めることができる。

クラウドサービスとは?

従来手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由のサービスとするもの。

クラウドサービスでは、スマホやPCなどの情報端末とWebブラウザ(ネット)を用意することで、どの端末からでも様々なサービスを利用できるようになる。

そのため、iPhoneを購入した顧客にとって、他社のスマホに買い替えることは、単なるスマホの買い替えというよりも、周辺機器の接続性・快適性の悪化という側面も抱え込むことになる。つまり、Apple社は顧客の囲い込みを図っているのだ。

また、最近特に収益性が上がってきた分野としてAppleのサービス部門が存在する。

これはiTunesやiCloudというようなApple製品を使う上でさらに利便性を向上させる取り組みであるが、これは収益性を改善させる役割に加え、それらサービスで現状の快適性を確保しているという面も存在するため、さらなるスイッチングコスト向上の役割を持っている。

製品性能の高さ

囲い込みという点では、単純に製品が魅力的だという点も無視できない。Apple社の製品のほぼすべてはデザイン性が非常に高い。

iPhone発売初期からファンは多いが、Apple社の製品の高いデザイン性・高機能をきっかけに購入し、周辺機器(PC含む)を購入し、クラウドサービスで製品接続性を上げるというサイクルを目指している。

高価格ではあるが高機能・高デザインであるという特徴も押さえておきたいポイントだ。

強固なサプライチャーン

また、Appleは製品の製造に対してかなり強い管理を行う。

Appleは工場を持たないため、あくまで製造は外注ではあるが、部品調達から最後の組み立てに至るまで、すべてに直接的に関与している。

コスト管理や原価設定などをかなり細かく管理しているため、実際に販売する商品が一体いつ、何個、どこの店舗に届くのか?という点に関して非常に正確な知見を有している。

強固なサプライチェーンを保有していることは大きな強みの1つにもなる。

スマホ業界について

同社のビジネスモデルの中心はあくまでiPhoneの発売によるものなので、所属業界としてはスマホを取り上げることにする。

もちろんほかにも様々な業界にまたがっているのは事実だが、ここではスマホを中心とする。

スマホ業界の推移

スマホ業界は2010年ごろから急激に拡大を始めた。もともと広がっていたタイプの携帯電話のシェアを食べる形でどんどんと拡大をしている。

やはりAppleを含む様々な会社のスマホ事業参入と、確信的でかつ利便性の高いスマホの開発が大きな要因となっているだろう。

スマホは価格帯によって細分化可能だ。

ローエンド・ミドルエンド・ハイエンドと3分割が一般的にイメージしやすい分割。その中でもAppleはハイエンドスマホに位置している。業界的に見てもかなり高級志向の商品であるとされている。

その価格の高さもあるのか、業界全体の風潮なのか、要因は完全には定かではないが、スマートフォン市場は近年になって成長速度を鈍化させている。

スマホ全体の所有率は2021年時点ではおそらく世界の6割に達する人口が保有していると推測される(日本の総務省の平成27年度推計による)。

もちろん国によって保有率は大きく異なる。現にマカオや香港などでは人口が少ない先進国という状況にためか、保有率は300%近い数字になっている(Global note調査より)。

一方、当然ではあるが発展途上国では普及率はまだそこまで高くないと推測される。

つまり、スマートフォンの現状は世界全体でかなり普及しており、金額ではない台数べースでもかなり多くの割合(6割以上)が保有しているという状況だと考えることができる。

スマホ業界は鈍化している

さて、話を戻して最近のスマホ成長の鈍化である。

そんな状況(先進国におけるスマホ普及率の高まり)の中、足元ではスマホの出荷台数はかなり落ちてきている。成長鈍化ではなく出荷台数が下落している。

要因としてはスマホ自体が普及したため、スマホ購入の中心層が買い替え需要になったことがあげられる。

しかし、スマホ自体の価格が高い点や、新機種の明確な旧機種との差別化ができていない点が意識され、買い替え需要が高まっていないということが言えるだろう。

そんなスマホ業界だが、近年は5Gという明確な新技術要素が誕生した。今後5G活用の機会が増えれば増えるほどに、スマホ業界自体の量的拡大可能性も高まっていくと思われる。

スマホ業界の見通し

スマホ業界の見通しの後は、現状を見ていこう。

スマホ業界は現状5社で市場シェアの7割近くを占めている。Canalysの調査によると、現状のスマホシェアは

  1. サムスン:21%
  2. Apple:15%
  3. シャオミ:14%
  4. OPPO:11%
  5. Vivo:10%

となっている。

このデータを見るとやはり目を引くのはアジア勢の強さだ(Appleは日本ならシェア7割近い)。

これは、アジアメーカーはAppleのようにハイエンドスマホに集中させるのではなく、ローエンド・ミドルエンドもまんべんなくカバーしているため、アジア地域の途上国にも受け入れられやすいからだとされている。

スマホのような1人1つを前提としているようなデバイス業界では、シェアの高さは今後のアプリや関連製品、その他公共サービス接続などの際のデファクト・スタンダードとなる可能性につながる

デファクト・スタンダードとは?

市場における企業間の競争によって、業界の標準として認められるようになった規格・サービスのこと。

検索エンジンにおけるGoogle、ビジネスツールとしてのMicrosoft Officeなどが挙げられます。

そのような状況では今後継続的な安定収益確保につながるため、会社ごとのシェアやOSごとのシェアは注意してみておく必要があるだろう。

また、先日のAppleの方針転換(ユーザートラック型広告の規制)に代表されるように、ハードウェアやソフトウェアに対して強い交渉力を保有する。

ある一定以上のシェアをハードウェアで握ることはかなり難しいことではあるが、その分のリターンはあるため、その点も押さえておきたい。

また、スマホは業界として非常に大きくなっている業界のため、波及効果についても押さえておきたい。

スマホ製造と切っても切り離せないのは半導体の存在だ。スマホにはさまざまな種類の半導体が使用されている。

スマホ出荷台数と半導体の需要は大きくリンクしているため、この点についても押さえておく必要がある。

Appleの競争優位と課題

Appleの競争優位

まずApple固有の競争優位は以下のとおりである。

【Appleの競争優位】

  • 高いデザイン性と機能性の商品開発力
  • これまでの画期的製品によって、ロイヤリティの高いファン(顧客)が多く存在する
  • 製品同士の連携を強くすることにより、スイッチングコストを高め、高付加価値のサービス・製品を継続的に購入させることが可能。
  • 世界一の時価総額に裏打ちされた豊富な資金力と、強固な財務基盤
  • 製造における強い交渉力を持った管理監督能力

スマホ業界での優位性

【スマホ業界での優位性】

  • スマホ業界が今後も大きく伸びる業界
  • スマホ業界拡大に伴う、ソフトウェアサービスや、接続性を高めるサービスを提供する機会の増加
  • 世界的な人口増加・所得増加に伴うハイエンドスマホのターゲット層の拡大
  • 米中対立に伴うライバルの排斥を米国がバックアップ(ファーウェイ)

これらの点があげられるだろう。

特に注意してみておきたいのは、この中でも強固な財務基盤・資金力だ。

Appleの保有する資産は莫大ゆえ、新規事業や研究開発に大きな資金を投入できる。

iPhoneをひたすら売り続けるモデルから、それらを起点にした周辺を囲い込み作戦や、Appleカー・Appleグラス、自社半導体生産など、より高収益・広範囲・高成長ビジネスへと打って出られるのは、その資金力によるところが大きい。

今後大きな成長が予測されている業界へ、豊富な資金をもって参入できるというのは非常に大きな利点となる。GAFAMに共通する内容ではあるが、この資金力というのは大きな武器になるという点を抑えておこう。

Appleの課題

次に、Appleの課題についてみていこう。

【Appleの課題】

  • 売り上げの6割をiPhoneに依存する製品・業種ポートフォリオに不安定さ
  • Jobs亡き後、ロイヤリティの高いファンをつなぎとめられるだけの画期的新製品の欠如
  • アジア地域でのスマホ需要拡大チャンスの獲得失敗リスク
  • ローエンドスマホの参入による、付加価値の獲得難易度の上昇
  • 参入障壁の低い業種故の競争激化・シェア低下懸念

この中で特に注目したいのは、やはり参入障壁の低さ故の弱点だ。

参入障壁が低い業界というのは、あらゆる会社の参入を招いてしまう。特にその中でもピンポイント特化して参入してくる企業の存在がAppleのような大企業にとっては大きなリスクになりうる。

例えば、Appleは現状ハイエンドスマホに特化した販売形態を採用している。iPhoneは常にその時代の最先端の技術と最上位レベルの価格を兼ね備えている(最近だとGalaxyが超高級路線を進めているが)

その一方で、スマホ製造自体はそこまで高度な(参入が不可能なほどの)技術が必要なわけではないため、参入する企業も多い。成長業界ほど、参入した場合のリターンが高いため多くの企業を招くというのは古今東西変わらない。

実際にAppleはハイエンドスマホの覇者といってもいいが、ローエンド・ミドルエンドに関しては何らリーチの手段を持たない。

しかし、一方でローエンド・ミドルエンドスマホの需要は当然ハイエンドスマホよりも多い。しかもそれら顧客は別にハイエンドスマホを買うようなことはしない。

つまりハイエンド・ローエンド・ミドルエンドで棲み分けができている(サムスンなどは全部やるが)といっても、ミドル・ローエンドスマホの需要の高まりはそのままハイエンドスマホの需要減少へ直結することになる。

参入障壁の低さゆえに、今後需要が大きく高まるロー・ミドルエンドスマホに多くの企業が参入し、そのままハイエンドスマホのシェアを食い散らかすことはリスクといえるだろう。

Appleの業績グラフ

最後に

今回はAppleについて確認したが、今後も米国企業にスポットを当てた記事を随時更新していく。

S&P500を網羅するつもりなので、GAFAMからはじめ、少しニッチな企業の分析記事も発信していくので、お楽しみに。

業界初、現役IFAがキャリア・アドバイザーを務める転職サービス「IFA PASS」

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たりたり

たりたり

元株式アナリスト・ファンドマネージャー

元株式アナリスト・PM経歴 ライターとして米国株式市場の見方や株式投資銘柄分析についてのメディア寄稿も書籍 KADOKAWAから発売の『本気で稼ぐ!株式投資の教科書』は楽天ランキングで2週連続1位 | フォロワー70,000人(2021年12月時点)

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