対談前の為替動向
本日、日本時間0時に新型コロナウイルスの新種の変異株(以下オミクロン株)の感染拡大状況について、パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会にて対談を行いました。
内容はコロナウイルスの支援・救済・経済安全保障法についての内容です。
米上院銀行委員会前の11月30日、日本時間の14時頃モデルナのバンセルCEOが「オミクロン変異株へのワクチン効果は低下する可能性が高い」と述べ、金融市場は一気にリスクオフ。
アメリカ10年債利回りは1.42%へ低下。ダウ先物は500ドル以上のマイナス。原油先物は67ドルまで値を下げました。
ドル円チャートは、ネックラインの112.70円を割込みました(その後、サポートが入り円安に反発しました)
ネックラインとは
テクニカル分析で使われる言葉で、ダブルボトムやダブルトップなどのチャート形状において、トレンドの転換点を示すラインのこと
オミクロン株については、複数の見解が見られました。
軽視派 | オミクロン株は他の変異株に比べ感染力が強いが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い |
重視派 | WHOはオミクロン株について世界的に広がる可能性が大きいと認識「オミクロン株の蔓延は世界経済に深刻な結果をもたらす」 |
良くも悪くも取れるオミクロン株の情報が錯綜する中、米上院銀行委員会が始まりました。
パウエル議長とイエレン米財務長官の対談と為替動向
パウエルFRB議長は、オミクロン株がアメリカ全土を蔓延しようとも物価安定と雇用安定を柱に金融責務に務めると委員会前に主張。
イエレン米財務長官も同様に、オミクロン株の脅威に晒されようとも、現時点の米経済の力強さは維持されるだろうと委員会前に主張。
会議が始まると焦点になったのは、オミクロン株の事ではなく、インフレ率の問題だった。
パウエル議長は、今まで発言し続けていたインフレに対する一過性の見方を撤廃。コロナ前の水準まで雇用を戻す為には今のインフレ率を抑えなければならないと主張。
その為にはテーパリングをラップし、利上げを早める事が重要だと発言。
イエレン財務長官に至っても、12月の債務上限に対処しなければ、景気は後退局面に向かってしまうと発言。
2人の鷹派発言は、下がり基調であるアメリカ10年債利回りを一時1.5%まで押し上げ、世界中からドルの需要を呼び込んだ。
特にポンド、豪ドルなど中央銀行が利上げに踏み切れない国の通貨は需要が一気に落ちた。全体の主要通貨の動きを見てみましょう。
発言があった日本時間0時45分頃。ドルの需要が一気に高まりました。先の委員会でインフレ懸念が目立つことから、円とスイスフランは引き続き需要を伸ばした様子。
一方で豪ドル、NZドル、カナダドルなど資源国通貨は円高と同時に売られる動きとなりました。委員会が中盤に入った頃、ドルは調整入り。その後、為替相場は落ち着きを取り戻しました。
今後のドル/円について
両要人の話を聞いてると、オミクロン株よりも、インフレ率の上昇が最も大きな課題なのだろうと感じました。予想通りパウエル議長はテーパリングを早め、早々に利上げに踏み切る様子です。
コロナウイルスの脅威でロックダウンなどして、経済をストップさせる事は絶対したく無いでしょう。万一の時は財政の力をフルに使う方針でしょうね。
2022年はバイデン政権にとって中間選挙が控えてます。世論調査によると、現在、共和党の期待が民主党を上回ってる様子です。
バイデン大統領は中間選挙を成功させる為に、維持でもロックダウンをさせずにインフレ率を抑えてくるでしょうね。
現在、ファイザー並びにモデルナがオミクロン株のワクチン開発が始まってます。こちらは遅かれ早かれ結果が出るでしょう。
目先問題なのはテーパリングを早める時期です。国が利上げに向かう渦中は、金利が上がり、株価が下がる状況にあります。
為替市場はますますドルの需要が高まるでしょうね。リスクオフの観点から円の需要も強くなってます。
いくつかのノイズが為替市場に現れますが、今後もドル円はゆっくりと円安を推移して行くのではないでしょうか?
コメント